サンゴ、色によって高温耐性に差 「ウスエダミドリイシ」黄緑は白化せず OIST研究チームが発表


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3色のウスエダミドリイシ(左から茶、黄緑、紫)。沖縄周辺でよく見られる(沖縄科学技術大学院大学提供)

 3色の種類があることで知られるサンゴ「ウスエダミドリイシ」は、色によって高温への耐性が違うことが沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究で分かった。黄緑、紫、茶の順で耐性が高く、白化もしにくい。22日付の科学雑誌G3:Genes―Genomes―Genetics誌で研究成果が公開された。

 研究チームによると、2017年夏、黄緑のサンゴはほとんど白化しなかったのに対し、茶のサンゴは約50%が白化した。紫のサンゴは黄緑と茶の中間の割合で白化現象が起きた。
 研究チームが色の違いを生むタンパク質の発現量に注目して調べたところ、耐性の高い黄緑のサンゴは5種類ある緑色蛍光タンパク質のうち、2種類のタンパク質が夏場に多く発現することが分かった。緑色タンパク質が共生藻類を保護し、白化が抑えられたと考えられる。研究チームは当初、サンゴと共生する褐虫藻の種類で耐性に違いがあると考えたが、どの色のサンゴにも非常によく似た褐虫藻が共生し、大きな違いはなかった。
 OISTマリンゲノミックスユニットの佐藤矩行教授は「今のところ、サンゴ礁の現状に対して私たちができることはあまり多くないが、このような基礎的な知識を集め、サンゴの働きを理解することは、長期的な保全の観点で非常に重要」とコメントした。