自分らしく生きる素晴らしさ 嘉数陽(南部報道部)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

written by 嘉数陽(南部報道部)

 先日、南風原中学校で制服選択制に関する取材をした。南風原町では来る4月から、性的マイノリティーの生徒に限らず、誰でも自由に現在の制服から選んで着ることができる。

 自分らしくいられる環境があることは、とても勇気づけられる。同校2年の女子生徒は「小学生のとき、スカートはほとんどはかなかった。なのに中学に上がったら嫌でもスカートをはかなきゃいけなくて、最初は学校に行きたくなかった」と話していた。

4月から制服選択制が導入される南風原町の南風原中学校の生徒たち=15日、南風原町の南風原中学校

 とてもよく分かる。私も小学生のときにスカートをはいてからかわれ、スカートが嫌いになった。今でも足が見える丈のスカートは落ち着かなくてめったにはかない。彼女は「4月からはズボンをはく」と笑顔を見せた。ただ「自分の性に違和感のある人が、本当に希望する制服を着る勇気を持てるかは心配だ」とも話した。

 「もしいじめに発展したらどうするの」と聞くと、別の男子生徒が「励ます。好きな制服を着るのは何も間違っていないから」ときっぱり答えた。きっと4月を迎えたら、一時的に不安や戸惑いが広がるかもしれない。それでも彼らなら、自分とは違う価値観を受け入れて、自分らしく生きる素晴らしさを町外へも広めてくれる気がする。

(南風原町、糸満市、久米島町、渡名喜村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。