飲食業 通常営業へ準備 観光業は継続支援求める 県緊急宣言月末解除


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28日まで時短営業を続ける飲食店の張り紙=22日、那覇市内

 玉城デニー知事は22日の会見で、県独自の緊急事態宣言について、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いていることから、予定通り28日で解除されるという見通しを示した。経済界は、経済活動の活発化につながると期待を掛ける一方、観光業など協力金の対象外となった業種からは、引き続き支援を求める強い声が上がった。

 営業時間短縮を要請されていた飲食店や接待接触を伴う遊興施設は、3月1日からの解除を見込んで準備を進める。那覇、浦添、沖縄の3市では、昨年12月17日から2カ月半にわたって自粛要請が続いており、多くの店舗が時短営業や休業を選んだ。県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長は、年末年始を直撃した感染拡大を「長い冬だった」と振り返る。

 解除後は客足の増加が予想される。浦添地区社交飲食業組合は協力金受給の助言に際して、各事業者が感染対策を徹底しているかを写真などで確認している。下地理事長は「協力金をもらう以上、感染防止の対策を完璧にする必要がある。夜の街から感染を出さないよう、浦添を全県のモデルにしていきたい」と話す。

 県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は、加盟する約1千店舗のうち3割が休業しているとして「宣言が延長されると、気持ちが折れて廃業を選ぶ人が多くなるのではと心配していた」と話す。一方で、解除の正式決定が27日になったことに「通常営業の再開に向けて、仕入れなどの準備に動きだしている。直前で延長されても対応できない」とくぎを刺した。

 時短協力金の支給がある飲食店や遊興施設以外の業種からは、強力な支援を求める声が強い。

 1月の入域観光客数は14万4千人と、前年同月比で80%以上減少した。県内の観光施設では、3月までの修学旅行の予約はほぼ全てキャンセルの見込みで、4月以降にも影響が出始めている。宣言の解除後も、観光の回復には時間を要することが見込まれる。

 美ら島観光施設協会の安里竜也会長代行は「客が戻ってくるのはゴールデンウイークか夏休みごろになるだろう。県外、県内の修学旅行が観光施設に来てもらえるような施策をしてほしい」と求めた。

 リゾートホテル内などに数店舗を構えるエステサロンは、売り上げが大きく落ち込んでいる。担当者は「客足が以前のように戻るには日数がかかる。苦しんでいるのは飲食だけではない。行政はしっかり援助してほしい」と求めた。

 那覇市の泊魚市場で仲買をするカネヤマ水産は、緊急事態宣言を受けて1、2月の売り上げが大きく落ち込んだ。當山清伸社長は「人件費や家賃などを支払うと手元に資金が残らない。県は、卸売業にも飲食店と同様の支援をしてほしい」と求めた。