【記者解説】女性の配置偏り、門戸狭める偏見や仕組み直視を


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 本紙が県と県内11市を対象に実施したアンケートで、自治体の中心的役割を担う部署から女性は遠ざけられている状況が明らかになった。「男性優位」社会の一端が垣間見える。男性にはさまざまなポジションへの門戸が広く開いているが、女性は男性よりも限られた選択肢しかない地点からのスタートを余儀なくされている。社会の平等性を確保する観点からも、行政内の不平等は問題だ。単純に女性管理職数の比率を上げる程度では、組織全体の本質的な問題の解決にはならない。

 男性正規職員は全体の61%に上ることに対し、非正規職員の女性割合は75%だった。「男性は外で稼ぎ、女性は家庭を守る」といったジェンダーバイアス(性に基づく差別や偏見)がいまだに根強いことがうかがえる。このバイアスが女性の人事配置にも影響を与えてきたとみられる。

 広い分野の政策を実行し、社会に大きな影響力のある行政が旧来型のジェンダー観に基づく不公平な仕組みを温存すれば、社会に根強いバイアスを変えることはできない。行政当局はジェンダーに起因する不平等な構造を直視した上で、まずは組織のより中心的役割を担う総務企画系部署に女性を増やす取り組みが必要だ。

(梅田正覚)