海外食品店で「旅行気分」 出店相次ぎ地元客注目 国際線運休で需要高まる


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20~30代の女性が多く来店する韓国食品専門店「沖縄コリアマート」=18日、宜野湾市大山

 ドラマや映画、ポップミュージックが日本でも人気となる韓国など、海外食品専門店の新規出店が相次いでいる。新型コロナウイルスの感染拡大で沖縄発着の海外路線が運休する中で、県内に在住する外国人の間で自国の食品調達の需要が高まっているほか、地元の県内客にとっても海外旅行の気分を味わえるために注目が集まっている。今後、各店は店舗の拡張や取扱商品の拡大など、集客にさらに力を入れていく。

 飲食店の運営などを手掛けるZEN(宜野湾市)は昨年12月、市大山の国道58号沿いに韓国食品専門店「沖縄コリアマート」をオープンした。韓国関連の菓子やカップラーメン、化粧品など約800種類の商品を販売している。

 毎日100人以上が来店し、20~30代の女性が多くを占めるという。韓国出身の全亮雨(チュンヤンウ)社長は「コロナ下で県民が自宅で韓国ドラマを見る機会が増えた。ドラマで出てくるラーメンなどを買い求める人が多い」と売れ筋を述べた。

韓国や中国などの食品を取り扱う専門店「イェスマート沖縄」=15日、那覇市壺屋

 宜野湾での出店は2店舗目だ。同社は那覇市久茂地で飲食店を経営しており、昨年夏ごろに食材を仕入れるついでに、同ビル1階でも食品専門店を始めた。全社長は「コロナ下でタイミングが良く、外国人事業者にもいい場所で店舗を借りられたため、新規出店につながった。本島南部にもう1店舗増やしたい」と展開を語った。

 那覇市壺屋では、昨年11月に韓国や中国の食品専門店「イェスマート沖縄」がオープンした。これまで県内で免税店を経営していた永山(えいさん)(東京)がコロナの影響で事業転換し、食品店の運営に新規参入した。

 韓国食品約600種類に加え、中国物産なども約200種類を取り扱っている。韓国人客が多く訪れており、日本人の客単価と比べると約3倍に上るという。同社の沖縄責任者の何斌(カヒン)氏は「自国に帰れない県内在住の韓国人や、海外旅行に行けない地元客もよく訪れる。今後、韓国の農産品などを仕入れるほか、新規出店も考えている」と意気込んだ。

昨年11月にオープンした台湾食品専門店「台湾宝島物産」のオーナー、周秀玲さん=16日、那覇市泊

 また、那覇市泊に昨年11月、台湾食品専門店「台湾宝島物産」が開業した。オーナーの周秀玲(ゾウショウリン)氏はコロナの影響が長引いているため、自国の食品が恋しくなり、自ら台湾食品専門店の経営に乗り出した。冷凍食品をはじめ、調味料やカップラーメンなど約200種類の台湾食品を販売している。

 周氏は「台湾に帰れない県内在住の台湾人のために店舗を開いた。今後、海外観光客が戻ってきたら、県産土産品の販売も視野に入れたい」とコロナ後の目標を話した。 (呉俐君)