全ての県民が参加できたことに意義 前県議会議長・新里米吉氏<辺野古県民投票から2年>


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県民投票の全県実施に向け、選択肢を3択にする議長案が提出された経緯などについて語る前県議会議長の新里米吉氏=19日、那覇市内

 辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票から24日で2年がたった。県民投票の全県実施が暗礁に乗り上げる中、県民投票条例案で定められた2択の選択肢を3択に増やす議長案を提案し、全県実施への道筋を付けた当時の県議会議長の新里米吉氏は「辺野古阻止に向けてさまざまな角度から手だてを考えたい」と語る。県民投票実現に至った経緯や現状について、話を聞いた。

 Q:3択を提案した経緯は。

 「県議会で与党の多数決で選択肢を『賛成・反対』の二つとする県民投票条例が制定されたが、市町村では5市が制定できない状況が続いていた。どうにか状況を打破しなければと考えていた時に、公明党幹部から『議長に汗をかいてほしい』と要請された。その後、与党の会派代表を集めて選択肢を『どちらでもない』を加えた3択に変更する議長案を提示した」

 「しかし、各派で意見が分かれ、まとまらない状況が続いた。そこで、知事、副知事と協議して、知事らも与党の説得で働くことになった。県が動かなければ与党も折れなかった」

 「並行して、私は条例未制定の5市の市長と個別に面談し、『3択で県議会がまとまれば、それぞれの市も条例制定に動く』との感触を得た。その後、先に与党会派がまとまったが、自民会派の協議は続いていた。当時の自民党県連会長も苦労されたと思う」

 Q:選択肢を増やしたことに否定的な意見もある。

 「選択肢の数は重要ではない。大事なのは辺野古埋め立ての賛否をワンイシューで問うことで、全ての県民が県民投票に参加できる環境を整備することに意義があった。県民は知事選や衆院選など、これまでの選挙で辺野古反対の民意を示してきたが、政府は『争点はさまざまある』として逃げてきた。正面から辺野古反対の民意を示すことが必要だった」

 Q:県民投票の結果をどうみるか。

 「投票率は50%を超えなければならないと思っていた。県民投票は成功した。70%を超える反対票があり、民意は明確に示された。しかし、政府は『辺野古唯一』の姿勢を変えず、工事を強行している。議長職を離れた今、辺野古での座り込みを再度、始めた。座り込みを続けながら辺野古阻止に向けてさまざまな角度から手だてを考えたい」
 (聞き手・吉田健一)