4月12日から始まる高齢者の新型コロナウイルスワクチン接種で、県内は32万2千人が対象となる。政府によると全ての市町村にワクチンが行き渡るのは4月26日以降となり、その前に県内に届くのは1万人余にすぎない。この1万人分はどの市町村に配分されるのか。優先順位を付けざるを得ない状況だが、調整役の県の方針は固まっていない。接種現場となる市町村は、見えない供給スケジュールを前に体制作りに頭を悩ませる。
ワクチンは1瓶当たり6回接種できるが、国内で通常使われる注射器だと5回分しか取れない。そのため、6回分接種できる注射器を今後調達できるかどうかで接種量に差が出る。
県内の高齢者向けワクチンはまず、4月5日の週に2箱(1箱195瓶)届く。米ファイザー製で1人2回接種する必要があり、1瓶当たり5回か6回かによって、975~1170人分に相当する。その後、12日と19日の週にそれぞれ10箱(4875~5850人分)ずつと“小分け配送”が続く。ここまでで最大1万2870人の高齢者が2回分接種できることになる。
接種を実施する市町村との調整役を担う県は、この1万人分をどう配分するか方針を決める必要がある。全市町村に等しくワクチンを配布するのは「難しい可能性が高い」(県のコロナ対策本部)ためだ。
政府によると、全ての市町村にワクチンが行き渡る量が届くのは4月の最終週に入ってから。ワクチンの総合調整を担う河野太郎沖縄担当相は配送後の接種スケジュールは「自治体の判断になる」との考えを示している。
だが、いつワクチンが届き接種を開始できるか、それぞれの県内市町村が計画を具体化できずにいる。ある自治体の担当者は「4月の最終週だと大型連休の前か後かで想定は変わるし、医療関係者の確保にも影響する」と困惑する。
配布の順番を決める場合、医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な小規模離島などが候補としてして想定される。県は「いろいろな意見があり、専門家の声も考慮し決めたい。遅くなれば接種する市町村の体制に影響する」として検討を急ぐ考えだ。