学校防災、沖縄県内で遅れ 水準達成は8市町村のみ 教職員の育成や専門家の確保が課題


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ

 東日本大震災の津波で児童74人が犠牲となった、宮城県石巻市立大川小を巡る仙台高裁判決を機に強化された、学校防災の水準について、沖縄県内で達成しているのは8市町村にとどまることが28日、共同通信のアンケート調査で分かった。未達成の市町村は、地域や関係機関との連携構築、専門的な知識を有する教職員の育成や専門家確保など、人的・予算的な課題を挙げた。

 2019年に確定した判決や、それを踏まえた文部科学省の通知では、学校現場にハザードマップを超える災害の備えや複数の避難場所確保を求め、校長らは地域住民よりはるかに高い防災知識を習得しなければならないと指摘した。

 こうした水準を「判決確定前から達成した」と回答したのは沖縄、今帰仁、金武、粟国の4市町村、「確定後に見直し、水準を満たした」と回答したのはうるま、宮古島、本部、北中城の4市町村だった。那覇、宜野湾、糸満、南城、与那国の5市町は見直しを「実施中」、名護、豊見城、読谷、嘉手納など15市町村は「今後実施予定」とした。宜野座村と渡嘉敷村は「対応予定はない」と回答した。11市町村は無回答。

 実施予定がないと回答した宜野座村は「浸水想定区域および土砂災害警戒区域内に立地する学校がないため、対応不要」と理由を挙げた。

 対応が難しい項目を複数回答で尋ねると、20市町村が「ハザードマップを超える災害の想定」を挙げた。「管理職の高水準の防災知識習得」は16市町村だった。