航空自衛隊が2月26日に那覇基地で泡消火剤を流出させた問題で、空自は「毒性や損傷性はほとんどない」と広報したが、この泡消火剤について製造元が発行している資料には、呼吸器や心臓、中枢神経、皮膚への有害性を挙げ「危険」と記されていることが1日、分かった。調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクトの河村雅美代表は「住民の安全を守る観点から、この資料に基づいて注意を促すべきだった」と指摘した。
(明真南斗)
有害性について説明している資料は「安全データシート(SDS)」。環境省の冊子によると、化学品を扱う際の特性や有害性に関する表現を世界で統一する取り組みに基づく資料だ。注意喚起の言葉は「警告」か「危険」と記される決まりだが、今回流れ出た消火剤は、より危険有害性が高い際に使用される「危険」と記されている。
各種有害性は5段階に分けられる。最も有毒性が高いのが「区分1」で数字が大きくなるにつれて有害性が弱まる。今回の泡消火剤の安全データシートでは「軽度の皮膚刺激」「強い目への刺激」「アレルギー性皮膚反応を起こす恐れ」「生殖能または胎児への悪影響の恐れ」「中枢神経系、呼吸器、腎臓、心臓の障害」などを挙げている。
漏出時の措置として「作業者は適切な保護具を着用し、目や皮膚への接触や吸入を避けること」を求め、防護衣を着けていない時は「漏えい物に触れてはいけない」と呼び掛けている。
空自は事故を広報する際、有機フッ素化合物の一種PFOS(ピーフォス)が含まれていないことを強調し「毒性や損傷性はほとんどない」と説明した。
安全データシートを用いて注意喚起すべきだったのではないかという本紙の質問に対し「シート自体は承知している。製造社にも質問し対応を判断した」と答え、問題ないとの認識を示した。PFOS以外の有機フッ素化合物が含まれているかどうかについては「業者の方に問い合わせてほしい」と述べるにとどめた。本紙はその点を業者に問い合わせている。
【関連ニュース】