【識者談話】泡消火剤流出 自衛隊対応は「影響小さい」と見せかねない 河村雅美氏


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 住民の安全を守る観点から自衛隊の対応は問題だった。商品購入時に付いてくる安全データシート(SDS)に沿って必要な注意を促すべきだった。消火剤の影響を小さく見せていると捉えかねない発表の仕方だった。

 事故を起こさないことが最も大事だが、発生させた場合にどう対応するか、住民に何を注意喚起しないといけないかという観点が危機管理として必要だ。汚染処理について宜野湾市に対応を任せて批判を浴びた米軍でさえ、昨年4月に普天間飛行場で泡消火剤が流出した際「誤って摂取する危険性を減らすため、泡に近づかないことを推奨する」と呼び掛けていた。

 今回、市民も泡消火剤の危険性を知っているのでメディアに情報提供していることを自衛隊は認識するべきだ。自衛隊には、漏出事故の一連の経緯を説明する責任がある。消火剤に誤って触れた人らの情報収集もすべきだ。一方、県や影響を受けた市町村は住民を守るため、自衛隊に十分な説明や今後の対応の制度化を求める必要があるだろう。

危険有害性を説明する泡消火剤の安全データシートの一部
河村雅美氏