沖縄ブーム再来を期待 NHK朝ドラ舞台に観光業者ら「発信好機」


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来春放送のNHK朝ドラの舞台となるやんばる地域=3日、国頭村奥間(小型無人機で大城直也撮影)

 2022年春から始まるNHKの「朝の連続テレビ小説」に、沖縄を舞台とした「ちむどんどん」が決定した。県内の経済関係者からは、観光客の増加などにつながるとして、歓迎の声が上がった。

 NHKの連続テレビ小説を巡っては、01年に放送された「ちゅらさん」が全国的に人気を博し、“沖縄ブーム”を巻き起こした。「ちむどんどん」は本島北部のやんばる地域を舞台に、沖縄の食をテーマにする。名護市の沖縄フルーツランドの安里竜也副社長は「世界自然遺産の登録に向けてもアピールできる。明るい話題だ」と話し、期待感を示した。

 やんばる地域への誘客に力を入れているJTB沖縄では、ドラマに連動した商品造成も今後検討していく考えだ。「ちゅらさん」の放映時も、小浜島内のロケ地などを巡る添乗員付きツアーを実施し、誘客効果が大きかったという。同社の杉本健次社長は「暗い話が多い中で光明が差した。間違いなく観光客は増える。知恵を絞って、この機会を最大限に活用する必要がある」と話した。

 名護市のヘリオス酒造の松田亮社長は、沖縄が舞台に選ばれたことを喜びつつ、観光客が急増した場合の環境影響も懸念する。「自然は沖縄の命なので、オーバーツーリズムは避けてほしい」と話した。

 東京都の銀座わしたショップ本店でも、従業員から喜びの声が上がった。副店長の後藤友興さんは「コロナで落ち込んでいる中、『追い風が来た』と、店のみんなで大はしゃぎだった」と声を弾ませた。関連した県産品の売り上げ増にもつなげたい考えだ。後藤さんは「ドラマに出てきた食べ物を店頭で用意したい。沖縄を気に掛けてくれる人が増えてほしい」と語った。

 りゅうぎん総合研究所の久高豊専務は「ちゅらさん当時は、放映によって観光客数の増加に効果があったように見える。来年春の放送なので、ワクチンが国民全体に行き渡り、感染症が収束することになると、復帰50年の節目、世界自然遺産登録との相乗効果も期待できる」と語った。