弁当の日賞を受賞した吉川結尋さんの作文「新型コロナとお弁当」 


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弁当の日賞を受賞した吉川結尋さん

 【南城】弁当作りや料理に取り組んだ体験をテーマにした作文コンクール「弁当の日おいしい記憶のエピソード」(共同通信社主催)で、最優秀賞の「弁当の日賞」に南城市立玉城小5年の吉川結尋(ゆじん)さん(11)が輝いた。
 作文「新型コロナとお弁当」には、新型コロナウイルスの感染拡大で学校が臨時休校となる中、毎朝、仕事へ行く父のために弁当を作ったエピソードをつづる。
 作品全文を紹介する。

【弁当の日賞】
「新型コロナとお弁当」
南城市立玉城小学校5年
吉川結尋

 新型コロナで、いろいろなことが、今までと変わってしまいました。学校も長期間休校になりました。今までの生活からは考えられないことですが、そうなってしまったのです。

 休校が始まりました。学校には行けないけれど、家で、その時間に勉強することには、少しずつ慣れていきました。でも、どうしても慣れないことがありました。それは、外に出られないことです。充分に動けないので、体もなんとなくスッキリしない毎日でした。それでも、朝起きる時間は、学校に行くときに起きるのと同じ時間にしていました。そうしないと、どんどん何かが崩れそうでした。

 朝、たっぷり時間があります。「お父さんのお弁当を作ろう。」と思いつきました。

 お父さんはそれまで、仕事にお弁当を持って行っていませんでした。でも、私がお弁当を作るというと、大喜びしてくれました。

 初めの頃は、焼くだけといった簡単なおかずだったのが、慣れてくると、日曜日に下準備をして1週間分を冷凍し、朝は仕上げるだけでいいようにできるようになりました。

 お父さんは、私がお弁当を作るようになってから、とても変わりました。今まで、お昼はいらないと言っていたのに、きちんとお昼を食べるようになったのです。そして、私のお弁当を毎日楽しみにしてくれています。

 休校中に始めたお弁当作りですが、学校が再開されてからも、続けて作っています。朝起きて、まずお弁当を作ることで、1日が始まり、生活リズムが整う気がします。

 お弁当は不思議です。それがとても簡単にできるおかずだったとしても、お弁当箱につめられているものを、ふたを開けて見た瞬間、顔がニコッとなるのです。どうしてかな? お弁当は、それを食べるその人のために作った、普通だけど特別な食事だからなのかな。と、私は思います。