琉球コラソン2020ー21シーズン総括 10位に低迷…来季へつながる成長の兆しも【個人成績表、全試合結果付】


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今季最終戦で果敢に攻め込む琉球の佐藤草太=2月28日、八重瀬町の東風平運動公園体育館(大城直也撮影)

 日本ハンドボールリーグ(JHL)が終了した。琉球コラソンの通算成績が4勝14敗2分け(1試合は不戦勝)、順位は11チーム中10位で2020―21シーズンを終えた。今季も低迷したが、シーズン後半にかけて得点力が向上。前シーズンの1試合当たりの最高得点は30点で、27点に到達した試合は4試合のみだったが、今季は9試合で27~31点を記録した。東長濱秀作監督が掲げる30得点以上の目標に向け、意識の改革が徐々に結果となって表れた。新型コロナウイルスの影響を受ける中で戦い抜いたシーズンを振り返る。 (謝花史哲)

 ■進む世代交代

 ここ数年は若手の入団が相次ぎ、20代前半の選手が半分を占めるようになってきた。

 前身のFC琉球時代から活躍してきた村山裕次が前季で引退。同じく草創期からGKとして支えた石田孝一がGMに就任し、ほぼ裏方に。今季開幕前の昨年8月には10年間所属したRW名嘉真吾が現役を終えた。

 2014―15シーズンにプレーオフ進出、4位と全盛を誇った頃から大きく低迷する中、世代交代の過渡期にある。

 石田GMは変革の必要性を掲げ、東長濱秀作監督も得点して勝てるチームにすることを課題に、意識の共有を図った。ベテランの経験と若手の勢いの合致を期待したが、シーズン前半は攻撃の展開にまとまりが欠け、思うように点を積み上げられなかった。

 そんな中、後半に入って徐々に得点力が向上した。大きなきっかけはチームの柱で得点源のLB棚原良の移籍だ。頼りの棚原が抜けたことで、若手選手に自覚が芽生えた。

 3年目のCB佐藤草太、2年目のCB我如古龍生、RB村田龍らフローター陣が積極的な攻め上がりで得点機をつくり始めた。「勝つイメージができなかった」(東長濱監督)という大崎電気や大同特殊鋼との2戦目ではリードする場面も。しかしまだ波があり、確認した戦術展開ができず、連続失点を食い止められない経験値不足も露呈し、黒星を重ねてしまった。

 ■得点力の向上

 後半戦にかけての得点力の向上は、左利きのRW美並省吾の加入も一因だ。名嘉が引退し、左サイドで得点源の三村裕幸を右サイドに置かざるを得ないなど、苦しい人繰りになっていた。

 昨季までトヨタ紡織九州でプレーした26歳の美並。10月から合流し、安定した空中動作やバランス感覚の良さを発揮し、得点力の高さで攻撃に厚みを増した。途中加入ながらシュート成功率は73%で、チーム4位の49点を挙げた。

 フローターだった中川智規をPVで起用したことも機能。ウエートを強化したポストプレーがはまった。最終戦のトヨタ紡織九州でシーズンベストの5得点。1試合得点の自己最多を記録した。

 チームトップはCB東江太輝が73点で、次に石川出が67点とまだまだ経験豊富なメンバーが引っ張るが、前季の1年目に30点だった村田が57得点、昨季はけがで泣いた佐藤も46得点と力をつけてきた。

 26歳のGK衣笠友貴が堅守の内田武志に代わり出場機会をつかむと好セーブを連発した。7メートルスロー阻止率0.281でリーグ4位とランキング入りした。

 思い切りのよい踏み出しからの突破力が魅力のRB村田はさらなる成長への期待を受け「来季は100得点を意識してやっていきたい」と意気込む。発展途上のチームは着実に強さを増している。東長濱監督は「(攻守の)立て直しに時間がかかる」と切り替えの悪さを指摘する。「個人のレベルはリーグのレベルになってきた。あとは個々の技術を集結させてチームとしてどう戦っていくか。もっと深掘りが必要だ」と修正点を見定め、来季の躍進を誓う。