「お手上げだ」「見通しがほしい」首都圏の緊急事態延長に国際通りの土産物店、観光関係者は


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 菅義偉首相は5日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う1都3県の「緊急事態宣言」を今月21日まで延長すると表明した。首都圏との往来自粛の継続は、沖縄の入域観光客数にも大きな影響を与える。県内事業者が需要回復に期待をかけていた観光支援事業「Go Toトラベル」の停止継続が見込まれ、県内観光事業者からは「一層厳しくなる」との声が相次いだ。

新型コロナウイルス感染症の影響で休業する店舗が散見される国際通り=5日、那覇市

 県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は、国内観光客の7割が関東から来ているとし「首都圏で緊急事態宣言が延長になると沖縄観光にとってはマイナスだ」と落胆した。

 県独自の緊急事態宣言が解除されたものの、那覇市内の飲食店に、まだ客足が戻っていないことに触れ「医療体制の厳しい状況は理解している。ただ、観光客が来て初めて数字(売り上げ)が戻るので、できるだけ早い解除をお願いしたい」と述べた。

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長も「沖縄観光が一段と厳しくなる。人の動きができるようになるまで、今は我慢の時期が続くとしか言いようがない」と述べ、厳しい状況が続くと見込んだ。停止延長が決まったGo Toトラベルを巡っては「(政府が)いつから、どういう条件で再開するか、早めに基準や見通しを示してほしい」と注文を付けた。

 今月1日に県独自の「緊急事態宣言」が明け、通常の営業時間に戻す店舗も多くなってきた飲食業界。ライブ居酒屋など観光客向けの飲食店は、1都3県の宣言解除に期待を抱いていたが、さらに延長となった。

 県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長によると、観光客向けの店舗の中には、雇用調整助成金を活用して休業している店舗が多かったが、最近から開店する事業者も出てきていた。鈴木理事長は「組合加盟の店舗は、4人以下の入店など感染防止に取り組んでいる。早期解除を望んでいる」と述べた。

 国際通りの土産店スタッフの男性は、首都圏で緊急事態宣言が延長されたことに「お手上げだ」と話す。昨年4月以降、土産商品の廃棄が続いているとして「これだけフードロスが生じていることに行政も目を向けてほしい」と窮状を訴えた。