政治

基地周辺1キロの土地に売買規制 沖縄、広範囲の市街地も 今国会法案提出へ

           米軍嘉手納基地

 【東京】政府は、安全保障上重要な施設周辺での土地売買の規制を強化する法案について、今国会の成立を目指している。その概要が5日までに判明した。法が成立すれば、米軍や自衛隊施設など、指定された防衛関係施設から約1キロの範囲を「注視区域」に指定し、所有者の個人情報や利用実態を調べ、「施設の機能を阻害する」と判断されれば利用中止を命じることができる。与党内には私権の制限や地価を含む経済活動への影響を懸念する声がある。基地が集中する沖縄では規制地域が広範囲に広がる可能性がある。 

 法案の正式名は「重要施設周辺および国境離島等における土地等の利用状況の調査および利用の規制等に関する法律案」。偵察や侵入、電波妨害といった懸念から防衛施設を守ることを目的とする。
 
 米軍や自衛隊、海上保安庁などの施設敷地の周囲約1キロと、国境離島などを個別に「注視区域」に指定し、所有者の個人情報や利用実態を不動産登記簿や住民基本台帳などを基に政府が調査する。必要に応じて所有者に報告を求めたり、利用中止を命令したりできる。区域指定は審議会の意見を聞き判断する。
 
 司令部機能がある基地や重要性が高い国境離島は「特別注視区域」とし、土地の売買時には双方に個人情報や利用目的などの事前届け出を義務付ける。
 
 利用の中止命令に応じなければ、2年以下の懲役、または200万円以下の罰金に処すなど罰則を設ける。必要に応じて国が買い取れるようにする。
 
 県内では米軍基地が33施設、自衛隊施設が50施設、海上保安庁の施設が8カ所ある。これらは市街地に隣接する施設も多く、仮に全ての施設で周囲約1キロが注視区域に指定されれば、市の中心に米軍普天間飛行場が立地する宜野湾市をはじめ、中部地域では市街地や商業施設の多くが規制範囲に入る可能性がある。
 
 自民党は2月18日に開いた内閣第1部会などの合同会議で法案を了承した。
 
 一方、政権運営で自民党と連立を組む公明党は法案の目的には理解を示しつつも、経済活動へ影響する懸念から、規制内容が「措置として適切なものなのか」(関係者)と慎重論がある。
 
 識者からは「基地反対運動の封じ込めにつながる」と疑問視する声がある。
 
 菅義偉首相は5日の参院予算委員会で「何としても今国会で成立させたい」と述べ、強い意欲を見せた。政府は今月中に法案を閣議決定することを目指している。 (知念征尚)



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