「戦没者冒瀆許さない」 ハンスト終了の具志堅さん 共感の広がりに自信


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ハンガーストライキの賛同者から声を掛けられる具志堅隆松さん=6日正午ごろ、那覇市泉崎の県民広場(大城直也撮影)

 「世の中に間違っているとはっきり言えることは少ないが、これは絶対に間違っていると言える」。6日間のハンガーストライキを通して、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(67)は、遺族の声に耳を傾け、メディアを通して発信し続けた。6日、無事に終了し「ほっとした」と安堵(あんど)の表情を見せた。「連日、こんなにたくさんの人が来てくれるとは思わなかった。この問題はみんなが共感し、共有してくれることだと自信を持った」と語り、遺族の声を政策に反映させるため取り組んでいくと前を見据えた。

 28歳で、ボーイスカウトとして初めて遺骨収集に携わってから39年間、遺骨収集に一心に取り組んできた。粘り強く厚生労働省に働き掛け、沖縄戦の戦没者遺骨をDNA鑑定し、遺族の元へ返す試行的取り組みにもつなげた。収集の現場では腹ばいになり、風化によって細かく砕けた遺骨を土の中から丹念に探し、見つけると必ず手を合わせる。死者に誠実に向き合ってきた。だからこそ「戦争犠牲者の尊厳を守りたい。国が遺骨の混じる土を基地建設のために使うことは戦没者への冒涜(ぼうとく)であり、人道的に間違っている」と言い切る。

 沖縄戦の遺族の多くは遺骨が見つからず石を拾って墓に入れた。具志堅さんは「その石さえも国が海に入れてしまうのは許されない。遺族にとって石は墓であり、魂がこもったもの。戦没者が2度殺されるようなものだ」と訴える。

 ハンストの期間中は、身体がしんどくてもカメラを通してその先にいるはずの県内外の沖縄戦遺族に「あなたのお父さん、おじいさん、お兄さんがもしかしたら辺野古の海に投げ入れられるかもしれません」と呼び掛け続けた。

 メディアで具志堅さんのハンストを知り、連日、多くの遺族や共感する人たちが訪れ、涙ながらに具志堅さんを激励した。一人一人の思いを受け取った具志堅さんは6日、玉城デニー知事にも「遺族の気持ちを聞いて、遺族の心情が反映されるような方法を模索してほしい」と残された全ての気力を振り絞って伝えた。

 6日間のハンストでは水と塩以外、何も口にしなかった具志堅さん。何が食べたいか、との記者の問いに頰を緩めて「フーチャンプルーとハンバーガー。でも医者にスープやおかゆを食べなさいと言われたのでクノールスープにします」。丁寧な答えに人柄がにじんだ。