発表の場求め動画撮影 詩吟グループ「琉球岳風会」 「シルバーパワーを届けたい」


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 【那覇】新型コロナウイルスの感染拡大で発表の機会が減る中、詩吟グループ「琉球岳風会」は新たな発表の場として動画「吟詠のしらべ」を動画投稿サイトユーチューブで配信している。多くの芝居を上演してきた那覇市のアトリエ銘苅ベースで動画を撮影し、プロが手がけた照明や舞台設定で、正装した会員の姿を収めた。

動画「吟詠のしらべ」の撮影リハーサルをする琉球岳風会の会員=1月30日、那覇市のアトリエ銘苅ベース

 詩吟は漢詩や和歌に節を付け、吟じる。琉球岳風会は那覇市や豊見城市の合計18教室に150人ほどの生徒が通い、腹筋を鍛えて通る声を響かせる。例年は那覇市や浦添市の総合文化祭で舞台に立つが、本年度は新型コロナ禍でいずれも中止になった。「舞台がなくても、会員の頑張りを見てほしい」と動画配信を決めた。詩吟の動画配信は、おそらく県内初だという。

 動画には女性8人、男性5人の会員が登場する。本番の舞台さながらに曲紹介のナレーションを入れ、背景に詩の文字を配して48分にまとめた。

 詩吟は退職後に始める人が多いといい、会員も70代が中心だ。下地寛さん(69)は「発表会がない分、動画でシルバーパワーを同世代に届けたい」と意気込む。指導する上原和子さんは「コロナを機に各地の詩吟動画を見るようになった。コロナで変化が激しいが、より良い方向にいく機会にしたい」と笑顔を見せた。

 撮影場所のアトリエ銘苅ベースでは、新型コロナ禍で主力の芝居の上演が厳しくなった。一方で動画撮影のニーズが増えており、劇場にある照明や舞台を活用している。

 銘苅ベースでは県の事業で機材をそろえ、撮影や編集の技術を学び動画撮影に着手した。理事の安和学治さんは「コロナ収束後にはここで発表会をしてくれたら」と期待する。