野球と勉強、沖縄で成長 沖尚高を卒業した台湾出身の崔さん、張さん「努力する力身に付いた」


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3年生最後となった県夏季大会3回戦・沖縄水産との試合後、写真に収まる沖縄尚学の崔哲瑋さん(左)と張博瀚さん=2020年7月24日、アグレスタジアム北谷(崔さん提供)

 野球との文武両道を貫き、沖縄尚学高を卒業した台湾出身の崔哲瑋(さいてつい)さん(19)と張博瀚(ちょうはくかん)さん(18)が、4月から大学へ進学しそれぞれの道へと歩み出す。崔さんは沖国大の英米言語文化学科で大好きな野球を継続する。張さんは中央大の国際経営学部に進む。野球は続けないが「将来はスポーツに携わる仕事がしたい。台湾と日本のつながりをよくし、世界で活躍できる人になりたい」と夢を描く。

 異国の地で大きな成長を遂げた2人。3年間を振り返り、最も印象に残っている試合に、2019年7月に優勝した夏の県大会を挙げた。興南と延長十三回に及ぶ激闘を繰り広げた試合で、当時2人は2年生。崔さんはレギュラーで出場し、「(現プロ野球オリックスの)宮城大弥さんと対戦できたことが一生忘れられないぐらい光栄なこと。球の威力がすごく、真っすぐと分かっていても打てないぐらい速かった。すごい投手だった」と目を輝かせた。

 張さんはメンバーには入れず、スタンドで応援していた。「今まで感じたことのない決勝戦独特の雰囲気だった」と振り返った。

 寮生活の2人は3年間、学校と寮の往復で野球に打ち込んだ。その存在は他の選手にも影響を与えた。

 比嘉公也監督は「台湾から渡り沖縄で活躍してくれた。異国の地に来る分、覚悟が違う。周りの選手は、おれたちももっとやらないといけないという気持ちが芽生えていた」と語る。「2人とも真面目で熱心。崔は大きな大会になるほど集中力がある」と評価した。

 崔さんは「将来は社会人野球にも関わりたいし、一番は野球で仕事がしたい」と見据える。張さんについて「『国外に出て人生にチャレンジしないと成長しないよ』と誘ってくれた。沖尚に進学し、甲子園出場の夢をかなえるきっかけをつくってくれた」と感謝した。

 張さんは2年生の時に「九州地区英語スピーチコンテスト」で優勝するなど勉強でも評価を受けた。

 「高校生活で最も学んだことは時間の使い方や、人とのコミュニケーションの取り方。努力をする力を身に付けることができた」と話した。崔さんに対し「一緒に沖縄に来なければ今の自分はないと思うし、いろいろ助けてくれて感謝している」と唯一無二の親友との絆を確認し合った。
 (大城三太)