「今年も来たよ」亡き友らとひなまつり 白梅同窓会の同窓生ら人形や化粧品供える


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(上)ひなまつりで平和を願い追悼した白梅同窓会の中山きく会長(前列中央)や武村豊副会長(前列右)ら=3日、糸満市真栄里の白梅之塔(下)白梅之塔に供えたひな人形と化粧品

 【糸満】76年前の沖縄戦で日本軍に看護要員として動員されるなどして亡くなった、県立第二高等女学校の生徒や教職員ら149人の名が刻まれている糸満市真栄里の白梅之塔で3日、ひなまつり会を開いた。白梅同窓会の同窓生や遺族、語り継ぐ「若梅会」のメンバーらが参加した。新型コロナウイルス感染症の影響で規模を縮小して実施されたが、会長の中山きくさん(92)と副会長の武村豊さん(92)らは、亡き同窓生に「今年も来ましたよ」と語り掛けた。

 白梅之塔でのひなまつり会は、戦後すぐ、3月3日に沖縄戦を生き延びた同窓生4、5人で訪問したのが始まりという。戦時中、食べものや日用品に不自由したため、ごちそうや化粧品セットを供えた。中山さんと武村さんは「生きていて申し訳ないと泣けてきてしょうがなかった。それでも同級生が待っているような気がしてどうしてもお参りしたかった」と振り返る。

 1989年から、白梅同窓会としてひなまつり会が始まり、同窓生らの平和を願う思いに共感する多くの人たちも参加するようになった。県外からも交流を続ける学生などが訪れる。

 中山さんは3日、自身の語り部としての歩みを振り返った。戦後当初は沖縄戦を語ることができなかったが、広島や長崎で体験者が語る姿を見て「私たちも沖縄戦を語り継がないといけないという気持ちになった」という中山さん。「命どぅ宝、平和が一番。戦争に正義はない」と言い切り、次世代の若者に沖縄戦の実相を伝え、平和をバトンタッチすることが「私の生きている証し」と語った。

  (中村万里子)