レンタカー需要や適正価格を自動算出 フラッシュエッヂとフォルシアが開発


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
フラッシュエッヂとフォルシアが開発した「プライシングツール」のイメージ画面。過去のデータから稼働率や売り上げの適正価格を算出できる

 レンタカー予約サイトを運営するフラッシュエッヂ(那覇市)と、テクノロジー企業のフォルシア(東京)は、予約時期に応じたレンタカーの需要や価格を自動で算出できる、ウェブ上のサービス「プライシングツール」を開発した。年内にも実用化を目指す。導入によって県内レンタカー業界の過当競争の抑制や、繁忙期と閑散期の需給バランス調整に活用してもらいたい考え。

 両社は20年12月1日~21年1月31日の間、那覇と石垣、宮古島にレンタカー営業所を構える事業者1社の協力を得て、ツールを活用した需要予測などの実証実験を行った。需要予測に基づいて価格を設定し、収益を最大化する「ダイナミックプライシング(変動価格制)」の手法を、レンタカー業界にも導入できるかを検証した。

 検証結果によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出など、期間中の市況の変化で精度が低くなったものの、影響が限定的だった石垣と宮古島での予約数の予測精度は約80%に上った。

 価格を変動させた場合の予約状況を確認するため、利用する日から遠い順に3種類の価格帯を設けたところ、石垣と宮古では8割が早期割引を利用した。直前で他社の動向に応じた割引をしなくても、収益の見通しを付けられることが実証された。

 両社はプライシングツールについて「緊急事態宣言の影響が少ない状況であれば、正しい予測に基づいた価格変更により、需要に応じた収益を得られる」と分析した。フラッシュエッヂの知名健一代表は「県内では1社が価格を下げると他社も追随する状況が続き、他県と比べても価格が安くなってしまっている。事業者が適正な価格を知ることで、過度な競争がなくなってほしい」と狙いを語った。