【識者談話】コロナ変異株2種の特徴とは…「追加ワクチン、繰り返し打たないと」 徳田医師


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徳田安春医師

 新型コロナウイルスの変異で注意すべき変化は三つある。一つは感染力の増加、二つ目は免疫が効きにくいタイプ、三つ目は重症化する変化だ。N501Yは、感染力が増すことが分かっている。E484Kは免疫が効きにくいタイプであり“免疫逃避”という性質で、過去の感染で得られた免疫や、従来の新型コロナ向けワクチンで得られた免疫が効きにくい恐れがある。従来株に95%の有効性を示したワクチンが、変異株のE484Kに対しては、有効性が60~70%に落ちる可能性があるとされている。

 ファイザー社とモデルナ社はすでにE484Kに対応する、新バージョンのワクチンの臨床試験を開始した。日本はワクチン供給が遅く、最初のバージョンの接種でさえ年内いっぱいかかる見込みだ。新型コロナウイルスは今後進化を続ける可能性が高く、世界の人々は定期的に繰り返しブースター・ワクチン(変化に対応したワクチン)を打たなければならなくなるだろう。

 変異株は蔓延(まんえん)している地域で出現しやすい。英国、南アフリカ、ブラジルなどで変異株が最初に発見されされたのは、蔓延地域だからだ。

 大事なのは、変異株をあまり広げないように市中流行を制御することだ。今の変異株にはファイザー社のワクチンが効いても、さらに変異が進むと、今年の後半になってワクチンを打つ段階で、すでに効かない変異ウイルスに置き換わっているかもしれない。

 日本政府の方針では行政検査数が少なく、実際はもっと変異株が広がっているとみたほうがいい。1~2カ月前の、変異株からの2次感染が「収束している」としても安心はできない。ゲノム(DNAの遺伝情報)分析なしでは、変異を全く有していないとは言えないのである。

 国立感染症研究所と県の衛生環境研究所の分析が困難であれば、県内外の大学やOIST(沖縄科学技術大学院大学)など研究施設に解析を依頼する方法もあるだろう。ベルギーなどでは全数のゲノム解析を行い、兵庫県でも適応を広げて分析している。(臨床疫学)