和楽器と琉球古典音楽の融合 多彩な曲、悲恋奏でる 舞台「琉球恋慕」13日から配信公演


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演者総出演による「琉球恋慕」=2月12日、浦添市の国立劇場おきなわ(大城洋平撮影)

 2月12日、沖縄県浦添市の国立劇場おきなわで開かれた和楽器の二十五絃箏奏者の中井智弥と若手琉球古典芸能実演家の舞台「琉球恋慕」(ジャパトラ主催)の配信が13日から始まる。中井作曲作品や琉球古典音楽を編曲した作品など8題を通して、琉球古典音楽に新たな息吹を吹き込んでいる。

 12日の公演は中井をはじめ、三線の仲村逸夫、胡弓の森田夏子、笛の入嵩西諭、箏の池間北斗、舞踊の佐辺良和と総出演で奏でる「Horizon」(中井作曲)で幕を開けた。ポップなテンポの三線と箏に、胡弓と笛の旋律を鋭く重ねる現代的な音楽で、伝統楽器の新時代の夜明けを告げた。

 古典音楽として耳なじみのある「七段菅撹」(池間)、「仲風節」(仲村)は、中井の二十五絃箏とのデュオで演奏された。「七段菅撹」は、従来の曲調を、二十五絃箏の音色が包み込むような手付で温かさを感じさせた。「仲風節」は歌持ちの静と動のバランスが絶妙で、特に歌い出しの瞬間に心が震えた。

 最後は再び総出演で「琉球恋慕」(中井手付・作曲)を演じた。悲恋の物語を「伊野波節」と幻想的な舞と音楽で表現した。他に二十五絃箏による「花のように」や三線版「スラム奏法」なども楽しめる「紅蓮の炎」(いずれも中井作曲)などを演じた。

 伝統楽器が元来持つ美麗な音を重ね、テンポを変えることで新たな境地があると気付かされた。多彩な曲に五感を刺激される公演だった。

 ウェブの配信公演は午後8時開始。公演映像に楽器解説を加えている。視聴券は2500円。19日まで視聴できる。視聴券は19日午後5時まで販売している。詳細は下記QRコード参照
 (藤村謙吾)