首里城の美術工芸品 復元完了まで30年超える見通し 有識者ら報告書まとめ


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 沖縄美ら島財団が設置し有識者で構成する「首里城美術工芸品等管理委員会」(委員長・高良倉吉琉球大学名誉教授)は11日、最終の第4回会議を那覇市の同財団那覇事務所で開き、首里城火災で損傷した美術工芸品の管理方針や修理・復元計画、実施体制などを盛り込んだ報告書をまとめた。高良委員長が3月下旬に同財団の花城良廣理事長へ報告書を手渡す。

 会議は非公開で行われ、終了後に高良委員長や財団の担当者らが記者会見を開いて会議の内容について説明した。委員からの提言を踏まえ、同財団は美術工芸品を保管する収蔵庫を独自に設置し、修復作業を担う人材を育成する場としても連動させる方向で検討することも会見で説明した。

 報告書に盛り込んだ修復・復元計画は今後10年間を見据え、損傷・焼失した美術工芸品を修復したり、模造復元したりする手順などを盛り込んでいる。ただ、同財団は、首里城火災で損傷したすべての美術工芸品の修復を完了するまでには30年を超える期間が必要との見通しも明かした。

 高良委員長は「首里城火災で受けたダメージをどのように知恵と時間をかけて回復していけるのかというメッセージが入った報告書だ。重要なケースとして国内外に情報を共有できればと思う」と語った。