難病当事者や家族の不安を和らげたい メッセージ集め本出版へクラファン開始


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 難病と診断された人やその家族の不安を少しでも和らげたい―。琉球大学工学部3年の安部弘祐さん(21)は、難病の当事者からメッセージを集めて1冊の本として出版するため、クラウドファンディングを立ち上げた。安部さんも急激に体がむくむ指定難病「ネフローゼ症候群」を患っている。闘病中、当事者同士のつながりに救われた経験が今回の企画につながったという。

難病当事者から集めたメッセージを本にするためクラウドファンディングを立ち上げた安部弘祐さん=7日、琉球大学

 安部さんは宮崎県延岡市出身。琉球大への入学を控えた2018年3月末に発病した。入学しても地元の病院にいたため、大学に通えず、不安が続く中、4月中旬に琉球大学医学部付属病院に転院した。「自分が難病になるとは思わなかった。一体この先どうなるんだろう」。肺に水がたまり呼吸困難に陥って意識を失うこともあった。

 「誰も知り合いがいない沖縄で、誰も見舞いに来ない。本当に苦しかった」。沖縄での入院生活に孤独を感じた安部さん。ブログを開設し、苦しみをつづったところ、同じ難病の当事者から「私も頑張る!応援しています」とのメッセージが届いた。「自分は一人じゃないんだ。少しでもいいから前を向いて歩こう」と明るい気持ちになったという。

 安部さんは「新型コロナウイルスの影響で面会制限などがある今だからこそ、難病の当事者同士のつながりが重要だ。不安や孤独感を少しでも取り除きたい」と語る。

 本には難病の当事者約45人から寄せられたメッセージを掲載する。病名が分かった当初の気持ちや苦しかったこと、今伝えたい思いがつづられている。安部さんは「難病になったばかりで不安な人を勇気付けられる本にしたい」と話す。4日にクラウドファンディングを立ち上げ、出版に必要な費用100万円を募っている。期間は29日まで。12日午後6時現在、約56万円が107人から集まった。クラウドファンディングのサイトは、https://camp-fire.jp/projects/view/385329

 (長嶺晃太朗)