沖縄県庁の災害対策本部、大丈夫? 常設の災害対策本部なく、電源浸水の恐れも…


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 県は2021年度予算に、自然災害や感染症などの危機に対応する防災危機管理センター棟(仮称)の整備事業費を盛り込んでいる。県地域防災計画では、災害対策本部などを県庁5階危機管理センターか4階講堂に設置することとしている。だが常設施設ではないため課題も多い。

沖縄県庁(資料写真)

 現在、災害が発生し対策本部室などを設置する場合、常設の専用施設がないため、座席の配置や電話、パソコンの配線などに時間がかかることが懸念されている。また、4階講堂は新型コロナウイルス感染症の流行以降、感染症対策本部が置かれ続けている状態だ。想定よりも使用が長期化しており、本来の講堂としての活用ができなくなっている。

 この他にも課題がある。国は地方自治体に外部からの供給なしで72時間以上稼働できる非常用電源の整備を求めているが、県庁舎地下にある非常用電源の稼働時間は48時間が上限だ。県によると、高潮や津波が発生した場合、電源が浸水被害に遭う恐れもある。だが非常用発電機の浸水対策がされていない都道府県は、全国で沖縄県のみという。

 こうした諸課題に対応するため県は、防災危機管理センター棟の建設を計画したが、完成までは既存の設備を活用する方針だ。県は災害発生時に、優先的に非常用電源の燃料の供給を受けられるよう民間と協定を結ぶなど、施設面の課題に対応しようと取り組んでいる。仮に本庁舎の機能が使えなくなった場合は、県内の他の県施設を活用する予定だ。

 ただ、災害が発生した場合、道路状況の悪化などの影響で対策本部を別の県の施設に移したり、民間からの供給を受けたりすることは想定通りにならない可能性もある。県の担当者は、非常用電源や県庁舎が使えなくなった場合に「即時に対応することは難しいかもしれない」と話している。

 (西銘研志郎)