JAおきなわ牛肥育事業 本島から撤退へ 3施設を売却、収支改善を図る


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JAおきなわが運営する今帰仁肥育センター=17日、今帰仁村

 JAおきなわ(普天間朝重理事長)が、競りで購入した子牛を出荷まで育てる肥育事業について、本島内の事業から撤退する方針を固めたことが、17日に分かった。赤字が続く農業事業の収支改善が目的。本島内にある肥育施設を民間企業に売却する予定で、既に一部の肥育施設では子牛の導入を停止している。JAおきなわは売却に向けて、県内の農業生産法人などと交渉を進めている。

 JAおきなわの肥育施設は、本島に4カ所、離島に3カ所ある。施設で育った牛は、「おきなわ和牛」ブランドで販売されている。売却の方針を固めたのは今帰仁肥育センター、玉城農場、東風平肥育農場の3施設。東肥育センターは、JAおきなわが民間企業の施設を借りる形で運営しており、企業側に返却する。

 離島の八重山肥育センター、宮古肥育センター、伊江肥育センターの3施設は、島内で、と畜場の経営を続ける必要があるため、売却の対象外となっている。今後、地元の生産者などを対象に説明会を開催する予定だが、肥育事業全体の撤退ではないため総代会には諮らない方針という。

 JAおきなわの肥育事業は、子牛の競り価格が安価で推移していた時代に、競りで子牛を買い支える目的で始まった。最も古い施設は1978年ごろに運用が始まった。肥育事業から撤退することで、一部の農家からは「買い支えの機能がなくなる」という懸念の声が上がっている。

 JAおきなわは、収益の柱となっていた信用事業で農業事業の赤字を穴埋めしていたが、日銀の大規模金融緩和による低金利の影響で状況が一変した。昨年から、支店の店舗統廃合で経営のスリム化を図っている。赤字の続く農業事業そのものでも収支改善を図る必要があると判断した。
 (石井恵理菜)