首都圏の緊急事態解除 沖縄観光への影響は? 往来復活に業界は期待 「第4波」への不安も


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少しずつ人通りが出てきた国際通り=18日、那覇市

 菅義偉首相は18日、1都3県の緊急事態宣言を21日で解除すると発表した。県独自の緊急事態宣言が2月末で終了している沖縄県内では、観光予約が少しずつ改善する動きがあり、卒業旅行などで訪れる若者の姿が見られる。だが、観光事業者の売り上げが大きく回復するには至っておらず、首都圏との往来自粛の解除に観光業界は期待を寄せる。ただ、緊急事態宣言の全面解除後のリバウンドによる「第4波」が、5月の大型連休に直撃することへの不安も隠せない。

 県内の観光施設の事業者でつくる「美ら島観光施設協会」によると、卒業旅行の需要などで4月以降の予約が増えてきている。安里竜也会長代理は「来場者は少しずつ回復してきたが、(売り上げは)2019年と比べてまだ7割減となっている。Go To トラベルも早めに再開してほしい」と求めた。

 恩納村を中心にリゾートホテルを展開する、かりゆしグループの玉城智司社長によると、春休みやゴールデンウイークの予約が少しずつ伸びてきているという。それでも、恩納村のホテル全体で稼働率は20~30%台が平均となっており、依然厳しい状況が続く。

 玉城社長は「段階的に回復はしてくるだろう。だがコロナ禍は今後も長期戦になり、価格競争も厳しくなってくる」と話した。

 県内56店舗でつくる、沖縄観光飲食業の会の与儀哲治氏は「解除されてもすぐに団体客の動きにまではつながらないと思うが、旅行社が募集型旅行のセールスを始められるようになり、一歩前進ではある」と話す。会員の事業者は、修学旅行や団体旅行を主な対象とする飲食店が多く、与儀氏は「どこの店も逼迫(ひっぱく)している。知事には、ぜひ沖縄に来てほしいというメッセージを出してほしい」と話した。

 全国旅行業協会沖縄支部の崎山喜孝支部長は「宣言解除のニュースが流れて、予約は入ってきている。Go To キャンペーンが再開されれば、さらに動くと思う。ただ、第4波が出たら打撃が大きく、心配でもある」と複雑な心境を語った。