沖縄県の2部署、随意契約を公表せず 識者は規則違反を指摘


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 県総務部と子ども生活福祉部が、県財務規則でホームページ(HP)に公表を義務付けている随意契約の実績を約1年分、公表していなかったことが18日までに分かった。総務部は2019年度の第3四半期と20年度第1~3四半期までの間、子ども生活福祉部は19年度第2四半期から20年度第3四半期までの間、公表していない。公共事業に詳しい識者は「規則違反はもちろんのこと、公表すると困る事情があるのではないかとの疑念を持たれる」と指摘した。

 総務部は県庁内のコンプライアンスを担当する。総務私学課の担当者は公表していなかった理由について「予算編成などの作業があって、公表をおろそかにしていた。早急に公表する」とした。子ども生活福祉部福祉政策課の担当者は「一度HPに公表したが、修正事項があったため削除した。遅れてしまって申し訳ない」とした。

 県庁内の他の8部と県警本部、県教育委員会などの実績はほぼ期日通りに公表されていた。実績がなかった場合は「該当なし」と記載した。

 自治体の公共事業の発注は競争入札制度が原則だが、契約目的の商品が少額だったり、特定の事業者しかノウハウを有していなかったりするなどの場合は、例外的に随意契約を結ぶことができる。規定により、地方自治法施行令に基づく少額随意契約などを除いた実績の公表を義務付けている。

 法政大の五十嵐敬喜名誉教授(公共事業論)は「随意契約は、談合を含めた業者との癒着を生んだり、本当は競争入札ができるのに安易に契約を結んだりする場合がある。役所に困る事情があるのではないかと疑われる可能性があるので、積極的に公表するべきだ」と語った。
 (梅田正覚)