敗戦間際の対馬丸沈没 死亡学徒の遺族への特別支出金、最後の受給者が死亡


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内閣府(資料写真)

 【東京】河野太郎沖縄担当相は19日の閣議後会見で、内閣府が戦後補償の一環として実施していた「対馬丸遭難学童遺族特別支出金」の最後の受給対象者が亡くなったと明かした。内閣府によると、制度は1977年度に開始。44年8月22日に発生した対馬丸事件で死亡した児童の保護者を対象としていたが、本年度で実質的に終了する。

 沖縄から九州方面に航行中の疎開する学童らを乗せた対馬丸が、鹿児島県悪石島沖で米軍潜水艦の攻撃を受けて沈没した対馬丸事件では、乗船していた1788人のうち1484人が亡くなった。

 犠牲者の中には、疎開学童784人が含まれており、その父母や祖父母が賠償の対象となっていた。

 内閣府によると、これまでに延べ446人が対象となり、学童1人当たり年間約138万円、総額約61億円が支払われた。

 河野氏は「対馬丸事件で亡くなった方々への哀悼の意を表する」とした上で「ご遺族に改めてお見舞い申し上げ、この沖縄戦の悲劇の象徴ともいえる対馬丸事件をこれからもしっかりと後世に伝えていきたい」と述べた。