部活高2自殺 第3者調査チームの再発防止提言 特別推薦制度の在り方見直しを


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高校生自死事案の調査概要などについて記者の質問に答える金城弘昌県教育長(左から3人目)ら=19日、那覇市の県教育庁

 県立高校で部活動主将を務める2年の男子生徒が自ら命を絶った問題で、県教育委員会は19日、「(自殺の)要因は部活動顧問との関係を中心としたストレスの可能性が高い」とする第三者調査チームの詳細調査報告書(概要版)を公表した。

 第三者調査チームによる報告書で示された、再発防止への提言を抜粋して紹介する。(括弧内の数字は本紙による分類表記)

【学校における方策】

(1)不登校事案の対応

《問題点》
 教諭が事実関係を否定しても、学校は教諭の言動に注意を払うべきだった。学校は教諭自身の調査分析をしたうえで、独自に研修を受けさせる等の対応が必要だった。

《改善策》
 管理職は不登校事案のような重大事案には迅速かつ慎重な対応が行われる必要があった。問題事案の報告後に速やかな対応ができるよう、調査·検討の体制を整備するべきである。

 

(2)部活動を運営する体制

《問題点》
 部活動の指導等を顧問が一人で担っている現状がある。管理者による部活動の巡回も行われていたが、不適切な指導を把握しにくい状況だった。

《改善策》
 文科省の「運動部活動での指導のガイドライン」から管理職による巡回方法の見直し、保護者会設置の在り方の検討等が考えられる。

 

(3)顧問から生徒への連絡方法

《問題点》
 個人の携帯等を使用した場合、不適切な内容や使用形態があったとしても、問題事案への対応が遅れる。

《改善策》
 原則として、生徒等との連絡は学校の電話を利用することを周知徹底する。生徒等への連絡事項は部活動や学校時間内で伝えるべきである。

 

(4)研修、ガイドラインの具体的な内容の周知

《問題点》
 ガイドラインの内容を全く意識しない指導がなされていた可能性が高い。ガイドラインの周知徹底が不十分であったと言わざるを得ない。

《改善策》
 当該校ではガイドラインの周知徹底及び研修の実施を検討し、学校として共通理解を持つ必要がある。

 

(5)特別推薦の考え方

《問題点》
 特別推薦で入学した生徒が、当該部活動を辞めた場合に退学にならないが、出願の要件として部活動を3年間継続する意思や、「活動継続確約書」の提出が求められ、生徒が誤解していた可能性がある。

《改善策》
 特別推薦制度の在り方について見直し、部活動を辞めた場合でも退学にならないことを生徒や保護者へ周知徹底するべきである。