ランチサポート開始1年…緊急支援から困窮対策へ 87社が寄付、コロナ下で広がる支援


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 コロナ禍を受け食料支援に取り組む「おきなわこども未来ランチサポート」(実施主体・琉球新報社、おとなワンサード、日本郵便沖縄支社)は3月で、開始から1年となった。突然の一斉休校に伴い、給食に代わる食事を提供するため緊急で始まった。県内の多くの企業や行政が協力して県内全域に届けるなど、全国にない事業になった。

ランチサポートから食材を届けた石垣市での配布会=2月19日、石垣市社会福祉協議会(提供)

 ランチサポートは2020年3月9日から始まった。当初、企業から食料提供を受けて子ども食堂に届ける「りゅうちゃんランチサポート」として始まった。1回目の緊急事態宣言が明けて学校が再開されるに当たり、終了するか議論もあった。給食に限らず食料を必要とする世帯は多いとして事業は継続し、日本郵便沖縄支社も加わった。

 10月、沖縄子どもの未来県民会議(会長・玉城デニー知事)が実施する生活困窮家庭食支援連携体制構築事業の一環として、離島を含む県内全域への配送を始めた。需要を受けてコロナ禍の緊急対応から困窮世帯対策へと変化してきた。

 当初、寄付される食品は観光客の激減で販路を失った土産品なども多く、フードロス削減の面もあった。現在は賛同する協賛企業が利用者の要望にも応じた食品などを提供している。寄付企業は87社に上る。

 食料配布を介して初めて支援機関につながる利用者もいた。福祉制度申請のため、ランチサポートのスタッフが役所に同行した事例もあった。支援の横の連携も生まれ、困窮世帯支援のプラットフォームになりつつある。

 事業を最初に呼び掛けた、おとなワンサード代表取締役の富田杏理さんは「物を配って困窮が解決するとは思っていないが、いま困っている人がいる。支援への気持ちのある人が動きやすい体制を作っていきたい」と話した。