161センチの司令塔・安間がチームを頂点に導く 攻守でけん引


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プレーオフ決勝第2戦 激しいプレッシャーを受けながらインサイドに切り込むトヨタ自動車の安間志織=21日、東京・代々木第二体育館(長嶺真輝撮影)

 バスケットボール女子Wリーグのプレーオフは21日、東京・代々木第二体育館で2戦先勝方式の決勝第2戦が行われ、西地区1位のトヨタ自動車が東地区1位のENEOSを70―60で下し、2連勝で初優勝を果たした。トヨタ自動車の安間志織(北谷中―福岡・中村学園女子高―拓殖大出)は38分13秒出場し、10リバウンド、12アシストを記録するなど攻守でけん引した。トヨタ自は長岡の3点シュートなどで主導権を握り、前半で33―29とリードした。後半は馬瓜エブリンや馬瓜ステファニーの鋭い突破などから加点し、堅守も光って逃げ切った。ENEOSは攻撃の精度を欠き、史上最多を更新する12連覇はならなかった。

 試合終了のブザーが響く。両手を天に突き上げると、司令塔の鋭い表情が柔らかく溶けていった。直後、両手を膝に付いてうつむいた安間志織。喜び、達成感。さまざまな思いが涙となってあふれる。「本当にうれしいという感じだけだった」。顔をくしゃくしゃにして、仲間たちと強く抱擁した。

 「歴史を変える」。その一心で11連覇中のENEOSに挑んだトヨタ。その大一番で序盤、安間のミスが続く。第1戦で両チームトップの20点を挙げたことで相手にドライブを警戒され、簡単なパスミスなど、前半だけで三つのターンオーバーを記録。しかし「自分が焦ってしまう場面もあったけど、みんなに助けてもらった」と激しい守備と全員リバウンドで流れをつくり、前半を4点リードで折り返した。

プレーオフ最優秀選手賞(MVP)のトロフィーを掲げるトヨタ自動車の安間志織

 後半に入ると、安間の試合コントロールに安定感が増す。193センチのエース渡嘉敷来夢を欠くENEOSに対し、インサイドを徹底して攻める。「スモールフォワードにビッグマンが使えるのが自分たちにとって大きいこと」と高さの利を生かし、第3クオーターで15点まで差を広げ、優位に立った。

 ベスト5、MVPで名前を呼ばれると「自分が?」というような驚いた表情を見せた。それでも「3点弾を自信を持って打ち、相手の守備が出てきたらドライブという部分で成長した。ヘッドコーチの速いバスケを意識できた」と飛躍の1年を振り返り、胸を張る。最高の舞台で、最高の選手に選ばれた161センチの“小さな巨人”が、ひときわ大きな輝きを放った。
 (長嶺真輝)


▽決勝第2戦(トヨタ自動車2勝)

トヨタ自動車(西地区1位)
 70―60(19―15,14―14,20―9,17―22)
ENEOS(東地区1位)

(トヨタ自動車は初優勝)