子どもの居場所6割閉所 コロナ緊急宣言下、学習意欲の低下や孤立も 沖大やNPOが調査


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県内の子どもの居場所の運営状況や子どもへの影響などを調査した報告書が、21日までにまとまった。沖縄大学地域研究所とNPO法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆい、NPOももやま子ども食堂などが、昨年5月までの緊急事態宣言下の影響に関して、8月21日~9月1日の間にアンケート調査を実施した。通常通りの開所ができなかったことで学習意欲が低下するなど、利用する子どもや家庭への影響が顕著だった。専門家は、平時から行政をはじめ関係機関との連携を強化していく必要性を指摘した。

■子どもへの影響

 アンケートは県内の子どもの居場所134カ所に郵送し、63件の回答があった。居場所の開設状況は「緊急事態宣言に合わせて閉所」が34・9%、「学校休校に合わせて閉所」が23・8%、「通常通り開所」が17%、「その他」が24%だった。

 閉所している間も「弁当対応にした」「食料を配膳した」「オンライン授業を実施した」との回答もあり、25%の施設が子どもや家庭との関わりを継続した。

 サービス提供が途絶えたことによる子どもへの影響について複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「学習意欲の低下」など学習面に関わることで、31件に上った。「精神的に不安定な生徒が出た」も10件あった。外出自粛などが長期化する中、外部との交流の機会が減り、孤立する子どもの様子も多数寄せられた。

 またコロナ禍での子どもと家庭への悪い影響の具体例として、金銭的な不安をはじめ精神的なストレスが12件で最も多かった。学習面での不安(9件)、情緒の不安定(6件)、ゲームやスマホの依存(5件)が続いた。

■情報共有と連携

 子どもの居場所におけるコロナ禍での困りごとの設問で、最も回答が多かったのは「感染症対策」(38件)だった。「居場所の運営、食事提供を含む運営面全般」(34件)、「職員配置の方法」(23件)が次いだ。

 困ったときの相談先は「行政」(28件)が多かった一方で、新型コロナ感染対策の指針を示すマニュアルの作成や情報共有を求める声もあった。

 新型コロナの感染拡大の長期化を見据え、今後外部との協力が必要な策として、「他の居場所との連携」(7件)、「オンラインの活用と整備」(6件)、「食事提供の支援」(5件)などが挙げられた。