JA肥育事業撤退、農家から説明求める声 北部の和牛組合が協議へ


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 【北部】JAおきなわ(普天間朝重理事長)が本島内の肉用牛肥育事業から撤退する方針を固めたことを巡り、今帰仁村和牛改良組合(小那覇安朗組合長)などは22日までに、子牛の繁殖農家の意見を集約した。農家からは「工夫次第では黒字に転換できるのでは」「ちゃんと説明責任を果たしてほしい」など、JAの方針に反発する声があった。

 村和牛改良組合とやんばる和牛改良組合は4月8日にJA役員と協議する。組合は協議の場で、競り市場がある北部と南部の両端に1カ所ずつ、肥育センターを残すことなどを提案する考え。

 JAは地元向けの説明会を開いているが、既に事業撤退の方針を固めた後だった。

 役員の出席はなく、今帰仁村の農家は「十分な説明ではなかった。餌代はいくらかなど知りたいことは多くある。経営努力を示してほしい」と述べた。

 肥育事業は、JAが競りで子牛を購入し、買い支えることで子牛農家の経営維持につながっている。

 説明会の資料によると、JAが譲渡を予定する今帰仁肥育センター事業の累積赤字は、2010年度~20年度で約4454万円になるとの説明があった。一方、事業からの撤退により「競り子牛の金額が約2万円低下する恐れがある」との記載もあった。村の農家は「毎年約2800頭の取引頭数がある今帰仁家畜市場だと、1年で5600万円のマイナスになる」と懸念した。

 今帰仁村和牛改良組合は、今帰仁肥育センターの存続を求める要請を村と連名で出す予定。現在、全組合員の署名46筆が集まっている。