「変異株おそらく主流に」コロナ収束の鍵は? 沖縄県専門家会議・藤田座長に聞く


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これまでの1年の取り組みを振り返る県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の藤田次郎座長=琉球大学

 医師や保健所の当局者らで構成し、県に助言を行う新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、昨年3月25日の発足から間もなく1年を迎える。座長の藤田次郎琉球大学大学院教授が22日までに本紙のインタビューに応じ、流行の収束について「ワクチンがどれだけ早く普及するか。ワクチンが普及すれば必ず(感染者は)減ると思う」との考えを示した。 (中村万里子)

 ワクチンの供給見通しが不透明な状況にあることから、一般県民の接種の優先順位や接種回数について、専門家会議で本格的に話し合う必要があるとした。

 2009年に新型インフルエンザが流行した際、藤田教授はワクチンの接種回数を2回から1回にして、より多くの人が接種することを県に提案し、採用されたという。新型コロナワクチン接種の実施主体は市町村で、1人2回の接種が必要になる。現段階で日本製のワクチンがなく、沖縄への供給量や時期は不透明な部分が多い。専門家の間では、優先すべき接種対象の議論を進めているという。

 新型コロナ変異株に関して、ワクチン効果を低減させるとされる「E484K」が8例、感染力の強い「N501Y」が3例県内で見つかったことについて藤田教授は「県内ではおそらく変異株が主流になっていくのではないか」と推測した。変異株が市中に拡大する可能性を注視していく必要があるとの認識を示した。

 感染症と呼吸器の臨床と研究に打ち込んで40年。肺炎診療の第一人者の藤田教授でも、当初は「経験したことがない病気を語ることはできない」と考え、メディアからの取材依頼を断っていた。この1年で新型コロナ患者130症例以上を診察し、肺炎が重篤化したり、合併症を引き起こしたりするメカニズムへの理解が深まったと感じている。「同じウイルス感染症であるインフルエンザと比べても(新型コロナは)全然違う。医者として科学者として大きな経験だった」