基地周辺の土地利用規制法案、公明も了承へ 区域は削減、政府裁量の余地残る


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嘉手納基地

 【東京】公明党は23日、米軍や自衛隊など防衛施設周辺の土地利用を規制する法律案について、一部修正の上で了承する方針を決めた。所有者の個人情報や利用実態を国が調査する注視区域などの指定に当たって「経済的、社会的観点から留意すべき」だとの文言を盛り込み、施設の周辺環境に応じて区域指定を緩和する余地を残した。基地と市街地が隣接する場所が多い県内で指定範囲の削減につながる可能性がある。

 一方、具体的な指定要件などは法律成立後に政府が策定する基本方針に委ねることとなり、時の政府方針によって変わり得る余地を残した。

 同党は25日の中央幹事会で正式に決定する。自民党も23日の政調審議会と総務会で了承した。これを受け政府は、26日にも法案を閣議決定し、国会提出する。

 自民党や政府との修正協議を通じて、土地所有者の情報収集に当たって個人情報の保護に十分配慮すると一定の制限を盛り込んだ。

 公明に対し政府側は、区域指定に当たり関連する地方公共団体と事前に意見を交換する考えを伝えた。

 法の施行段階では、海上保安庁施設などの周辺は、土地取引の事前届け出義務が課される特別注視区域に指定しない方針も示した。

 また、規制措置の透明性を担保する観点から、法律の施行状況を取りまとめて公表することとした。

 北側一雄副代表は会合後「防衛関係施設等の機能を阻害する土地利用を防止するという法律の目的は理解できるが、経済活動の規制にもつながる」と述べ、規制と経済への影響のバランスを取る必要性を語った。

 一方、立憲民主党の安住淳国対委員長は、自民党の森山裕国対委員長と国会内で会談し「極めて慎重に扱うべきだ。野党として全く賛成できない」と伝えた。