アグー凍結精子の実用化に成功 世界初の技術 ブランド豚、安定生産へ 琉大と我那覇畜産


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 周子
純粋系アグーの凍結精子を使って誕生した子豚(建本秀樹教授提供)

 琉球大農学部の建本秀樹教授は24日、戻し交配で戦前の形態を復活させた純粋系の沖縄在来豚アグーの凍結精子を、産業的に供給する技術を確立したと発表した。
 豚の凍結精子は解凍した際に精子の動きが落ちる問題があったが、精子のエネルギー源となるミトコンドリアの損傷を防ぐ研究を重ね、解凍後も運動能力が落ちない凍結精子の作製に成功した。商用に使える豚の凍結精子を作製したのは世界初という。作製技術の特許出願を予定している。

 凍結精子の実用化によって、暑さで精子の状態が悪化する夏場でもアグーの繁殖が可能になり、年間を通して安定的にアグーブランド豚を生産できるようになる。
 今後の商用化では、研究で連携した我那覇畜産(名護市)が畜産農家に凍結精子を供給し、アグー豚を生産する体制を構築した。凍結精子を使ったブランド豚は「琉大アグー 琉覇」として商標登録し、8月ごろから販売を始める。

 純粋系アグーは精子の射出数が西洋豚より少ない上、夏場は精子の運動性も落ちて交配が困難だった。精子の状態がいい冬場に凍結精子を作製し、夏場の交配に使用する。

 暑さの厳しい7~9月に一般西洋豚のケンボロー種に凍結精子で人工授精したところ、受胎率は80%、分娩率は68%だった。いずれも液状精液より成果が高かった。
 建本教授は「約15年にわたる基礎的研究の蓄積を基に我那覇畜産と一緒に試行錯誤を重ねてきた結果だ」と話した。