沖縄の企業「事業承継せず廃業」12% 「子が継がない」影響も 公庫と愛知大調査


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 沖縄振興開発金融公庫と愛知大経済学部の打田委千弘教授は25日、県内企業の事業承継に関する実態調査の結果を発表した。沖縄公庫の取引先の県内企業で、経営者が55歳以上の1751社のうち、「事業承継せず、廃業を予定している」と回答したのは12・1%だった。事業承継について「既に考えている」が52・3%、「まだ考えていない」が35・6%だった。

 調査は新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年11~12月に実施された。廃業を予定する理由として、「子どもに継ぐ意思がない」などの後継者難は合計39・2%で、業績難は合計17・1%だった。

 沖縄公庫は「コロナが経営者や後継者の心理に大きな影響を与え、廃業を予定する企業が増加することが懸念される。生産性向上のサポートによって、前向きな心理を抱かせることが重要になる」と指摘した。

 後継者の希望については、「できるだけ子どもがよい」が35・6%、「子どもでなければならない」が27・8%で、子どもへの承継を望む経営者が6割以上に上った。「子どもであることにこだわらない」は23・1%、「子ども以外から選びたい」は8・9%だった。

 子どもを後継者としたい理由は「資産を引き継ぎたい」が45・4%、「事業内容や経営者の気持ちを一番理解している」が31・8%だった。後継者が既に決まっている655社のうち、長男が後継者だったのは58%と半数以上を占めた。

 企業の買収・合併(M&A)に対する考えでは「考えたことがない」が54・4%、「行わない」が21・4%で、敬遠する心理が浮き彫りになった。

 打田教授は「子どもへの承継に強い思いが存在するので、子どもが拒否した場合に継続が困難になるケースがある。M&Aの成功事例を共有していくことで、心理的なハードルが低くなるのではないか」と話した。