現行の沖縄振興の総点検結果を読むと、(成果に至るまでの道筋を可視化する)ロジックモデルに基づく現状分析と課題が示されているが、復帰50年で沖縄振興は機能したのか、自立指標から見た沖縄経済の姿が見えない。
この50年で13兆円の振興事業費が投入されたが、財政依存度、域内自給率、自立収支、自立係数は改善されていない。経済指標を丹念に追えば、自立への道は遠い。この機を捉え、なぜ沖縄は自立できないのか、根本的な原因分析が必要ではないか。
沖縄特例の高率補助、一括計上についての分析もない。主要プロジェクトの成果を指標化して、費用対効果の分析も必要だ。
産業の視点から見れば、復帰50年で第1次産業の総生産額は7・3%から1・5%に低下した。復帰時に5万6960戸あった農家が2万56戸に激減している。製造業の総生産額は10・9%から4・4%に低下している。振計の産業政策は機能していないと思われる。生産手段を持たない経済から自立は生まれないと思うが、その分析視点もない。
社会の片隅に置かれている子どもの貧困問題、生活保護などの現状分析など深く掘り下げ、今後の対応を考えるべきだ。コロナ禍で先行き不透明の中で次期振興計画はどうあるべきか、知恵とエネルギーを絞って設計を考えないといけない。
(地域開発論)