今年の入社式どうなる? コロナ禍で中止、分散、延期… 悩む沖縄企業


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 県内の新型コロナウイルスの感染者数が再び急増しし、第4波への警戒感が高まる中、新年度を控える県内企業の間で4月1日の入社式の取りやめや延期の動きが出ている。入社式は新社会人にとって「節目」となるため、開催を選択する企業が多い一方、県は外出自粛や飲食店への時間短縮営業の要請について検討を始めている。先行きの不透明感が強まる中で、各企業は年度替わりの対応に頭を悩ませる。

昨年4月に開かれた、りゅうせきネットワーク会議の入社式。新入社員全員がマスクを着用した=2020年4月1日、浦添市産業振興センター結の街

 リウボウグループは、入社式の開催で「人が密集してしまう」などとして、昨年に引き続き実施しない方針を決めた。

 りゅうせきは、例年4月1日に行っている「りゅうせきネットワーク会議」の合同入社式を中止し、グループの企業ごとに開催する。同社によると、当初は浦添市の国立劇場おきなわで開催を予定していたが、換気の面やオンライン配信の通信環境などで合同開催には困難があったという。

 47人が入行する予定の沖縄銀行は、昨年は入行式を中止としたが、2021年度は4月16日に開くことを予定している。県外大学出身の学生が多いため、2週間の健康観察期間を置く。その間は新入行員にタブレット端末を支給した上で、オンラインでビジネスマナーや資格試験取得の教養などの研修を実施する。

 同行は「お客さまに対応する業務を担うので、感染拡大防止のために十分な期間を空ける。研修を通して社会人としての自覚を持てるよう充実したものにしていきたい」と語った。

 県中小企業家同友会は例年、会員企業の新入社員が一堂に会して合同入社式を開催し、そのまま泊まり込みで社会人としてのマナーやグループディスカッションなどの研修をしている。同友会の担当者は「中小企業は1社当たりの新入社員が少ないため、合同で入社式を行うことで他社、他業種に同期ができる」と意義を語る。

 今年も4月8、9日に、南城市のホテルで入社式と研修を実施する予定だが、感染者数が急増している現状に頭を悩ませている。担当者は「大事な節目なのでできる限り開催したい。仮に緊急事態宣言が出たら取りやめるが、現状ではやる方向で準備を進めている」と話し、直前まで状況を見極めて判断するという。