ルッキズムという呪い モバイルプリンスの知っとくto得トーク[203]


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東京五輪開会式の演出で「女性芸人をオリンピッグ(豚)として変身させる」との案を出したとして、CMクリエイターの男性に非難が殺到【※1】しました。

これまでバラエティー番組などで人の容姿や見た目を揶揄(やゆ)したり、笑いの対象にした時代がありましたが、人々の価値観が変化し「こうしたネタはよくない、笑えない」とノーを突き付けたということですね。

 

※1 非難が殺到 … 東京五輪演出チームのLINEのやりとりを週刊文春が報道(21年3月25日付)しました。CMクリエイターで五輪開会式「総合統括」だった男性は報道の内容を認め、辞任を表明しています。

 

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人を見た目だけで判断することを「ルッキズム」と言います。

太っている・痩せている、背が高い・低い、鼻が高い・低い…など、私たちは「かっこいい・かわいい・美しい」とされる価値観に憧れ、過酷なダイエットや美容整形などで理想に近づこうとします。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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しかし、本来「美の価値観」は誰の目から見ても明らかな答えはないものです。1980年と2021年では「かわいい」の基準が違いますし、同じ2021年でも日本とエジプトでは「かっこいい」の基準が違います。

身長や体重はただの数字で、その人の全ての価値を表した数字でもないのです。

今回、CMクリエイターの案には批判が殺到しましたが、いまだに若者に人気のスマホアプリ【※2】では「かっこいい・かわいい」とされる人に人気が集まるシステムです。

こうしたアプリを見続けることで、無意識のうちに「かわいくない私には価値がないんだ」と落ち込む若者も増えています。

人の見た目・体型・容姿に安易に口出ししたり意見したりすることは、これからの社会でノーを突き付けられます。

同時に自分の容姿に関しても「ルッキズム」の価値観で呪われないようにしましょう。

 

※2 若者に人気のスマホアプリ … Instagram・TikTok・YouTubeなどのアプリで、「太っていたから友達から嫌われた」「体毛が濃いから恋人に振られた」など、人の体のコンプレックスを刺激する広告を見たことがないでしょうか? 商品を売るために人を傷つけたり不安にさせる「コンプレックス広告」も現在問題視され、アプリ側の広告規制が求められています。

 

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

http://smartphoneokoku.net/