南風原町が説明なくかさ上げ、入り口ふさぐ…948万円地主へ支払い命令 那覇地裁


社会
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那覇地方裁判所(資料写真)

 沖縄県南風原町の町道整備事業で、アパートの駐車場の一部を町が収用した後、事前に説明なくかさ上げ工事をし、駐車場の出入り口の1カ所をふさぐなどしたため土地の価格が下がったとして、土地所有者の男性(71)が町に約1128万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、那覇地裁(平山馨裁判官)は30日、町側に説明義務違反があったと認め、約948万円の支払いを命じた。

 判決によると、2012年8月、道路整備事業として町が男性から約13平方メートルを約167万円で買い上げ、補償費など約90万円を支払う内容で合意。その後、町は具体的な説明をすることなく、13年にかさ上げ工事を実施。アパートの駐車場出入り口は2カ所から1カ所に集約され、固定資産評価額は約928万円落ちた。

 町は工事の具体的な内容について説明する義務はないと主張したが、平山裁判官は「担当職員が正当な補償額の見込みを示さずに用地を取得するのは信義にもとる」と判示した。