首里城の防災「不十分」 再発防止委が最終報告書


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県の上原国定土木建築部長(右)に報告書を手渡す「首里城火災に係る再発防止検討委員会」の阿波連光会長(中央)と野崎聖子委員=30日、県庁

 首里城火災の原因と再発防止策を協議する県の第三者委員会「首里城火災に係る再発防止検討委員会」(委員長・阿波連光弁護士)は30日、最終報告書を作成し、県の上原国定土木建築部長に手渡した。検討委は立地や構造上の特性から、正殿を中心とした建物群は火災に弱かったにもかかわらず、関係機関にその認識は薄かったと結論付けた。法令には反していなかったが、設備が古かったり、夜間火災を想定した訓練がされていなかったりするなど、防災体制は不十分だったとした。

 再発防止策として、早期の火災発見に向けた機器の導入や火災が起きた国営区域と県営区域それぞれに設置されている防災センターの一元化、両区域で別々に委託される指定管理体制の見直しなどを提言した。
 検討委は、那覇市消防局と県警への聴取や資料提供を踏まえ、出火原因は不明とした。その上で「正殿1階北東側の電気設備が出火原因である可能性は否定できない」とした。

 阿波連委員長は「首里城は復元されるが、火に弱いという基本は変わらない。100年後にも残すために、火災リスクがあることを受け止める必要がある」と話した。

 県は報告書を踏まえ、4月中旬に再発防止策を策定する。また指定管理体制の在り方を検討する「首里城公園管理体制構築検討委員会」(仮称)を設置して指定管理の在り方も議論する。

 検討委は昨年3月に発足。両区域の指定管理を受ける沖縄美ら島財団や火災当日にいた警備員ら、国や県などから状況を聴取したり資料提供を受けたりした。報告書は県都市公園課のHPから入手できる。