昨秋はベンチ外だった“第2”のエースがこの春、マウンドに舞い戻ってきた。興南の右腕・大山北斗が抜群の制球力、緩急付けた配球で13奪三振、被安打2と覚醒した。公式戦での初完投は完封勝利で「初回から直球も決まり、緊張も取れた」と堂々のピッチングを見せた。
背番号10。初戦の首里戦での先発時は「緊張から変化球が抜けてしまった」と先制を許し、三回途中で降板していた。先発2度目のこの日、「三振など気にせず、打たせて取ろう」と切り替えると、五つの回で三者凡退の快投。
唯一連続出塁を許した五回は、立て続けにけん制で刺すなど冷静なマウンドさばきだった。バットでも貢献し、四回2死二塁から右翼線への適時二塁打を放つなど、攻守で貢献した。
今の投球からは想像できないが、昨年まで「制球が定まらなかった」という。バッテリーを担当するコーチを務める、元ソフトバンクの島袋洋奨コーチから「もっと下半身を使って投げなさい」と指導を受け、この冬、下半身を強化してきた。4種の変化球の制球力、球威ともに向上を果たし、ダブルエースの一角の存在感を放った。
(上江洲真梨子)