浦添ふ頭地区形状案 SDGs踏まえた「個性」 自然保護と経済効果を両立


社会
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 那覇港浦添ふ頭地区の形状案は、現行の計画から埋め立て面積が大きく減少することとなった。SDGs(持続可能な開発目標)を踏まえ、自然環境の保護と経済効果創出を目指していくという。31日にあった記者への説明会でも那覇港管理組合からは、組合構成団体間で浦添市のイノー(礁池)を独自の「個性」と捉え、ブランド価値としていきたいとする議論があったとの説明があった。

 現行の計画では、浦添市側がリゾート開発を担当する地区に配置されていたビーチが北側を向いており、イノーの一部も開発地区にかかっていた。

 しかし今回公表された形状案では、自然的環境を保全する区域が明確に示されるなど管理組合の説明通り、美しい自然を保護しながら経済効果を生み出すことに重点が置かれている。埋め立て面積が縮小したことで、地元の松本哲治浦添市長も一定程度の評価を示した。

 ただ浦添ふ頭地区は、米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の移設先ともされている。現在、配置先は未確定だが、現行の計画では今回の形状案でリゾート開発地区となる「交流・賑(にぎ)わい空間」とされる場所の沖合への移転が検討されていた。

 軍港の配置は移設計画に関する国と地元の協議会で議論されることになるが、県はこれまで、民港の形状案策定を踏まえ開催されるとの立場を示すにとどまっており、玉城デニー知事も、軍港移設に関して明確に説明することは避け続けてきた。また市民からは軍港移設の是非も含め、埋め立て規模にかかわらず、浦添ふ頭地区開発計画そのものを見直すべきだという声も根強い。

 今後、軍港の配置に関する議論は本格化していくことになるが、軍港移転による弊害を見極めるなど、県をはじめ関係団体には慎重な議論が求められる。 (西銘研志郎)