CO2削減コンクリ開発 リュウクス×琉大 混和材に木質バイオマス燃料 沖縄発の技術発信へ


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パームヤシ殻の燃焼灰を混ぜたコンクリートを打設する作業者ら=3月30日、本部町北里

 発電所で石炭を燃焼する際に生じる灰(フライアッシュ)の加工、販売を手掛けるリュウクス(うるま市、謝花一成代表)は、琉球大との共同研究で、パームヤシ殻(PKS)など、木質バイオマスの燃焼灰をコンクリートに混ぜることで、高品質なコンクリを製造する技術を開発し、特許を出願している。セメントの一部をPKS燃焼灰に置き換えることで二酸化炭素(CO2)を削減することが可能となる。謝花代表は「バイオマス発電所は全国的に増加が予想される。生じる灰を有効活用していきたい」と話した。

 同社は30日、本部町北里の住宅建設現場で、本部生コンの協力を受けてPKS混和材をセメント重量に対し10%混合したコンクリを、基礎部分に打設した。同社によると、建設現場でPKS混和材を混ぜたコンクリを打設するのは国内で初とみられる。

 植物は育つ過程でCO2を吸収するため、PKSや建築廃材などから作る木質ペレットを燃料に使うと、実質的なCO2排出量を抑えられる。県内でも今後、大規模な木質バイオマス発電所の運転開始が予定されている。

 PKS燃焼灰を混和材として使ったコンクリの性能評価では、圧縮強度は通常のコンクリに比べ同等以上だった。特に、打設後に長時間が経過すると通常よりもさらに強度が増すことが明らかになった。PKSを発電所で燃焼する際、かき混ぜるために砂を入れることから、燃焼灰にケイ素が含まれ、打設後に組織が緻密化し隙間がなくなる「ポゾラン反応」が起きていると考えられる。塩害に対しても、打設後91日経過時点で通常のコンクリよりも高い抵抗性を示した。

 同社は元々、火力発電所で使われた石炭の燃焼灰を加工し、混和材に活用してきた。世界的に脱炭素化の流れが加速する中、2019年から社内で木質バイオマスの基礎研究を開始。20年から、琉球大工学部建設材料学研究室の富山潤教授、須田裕哉助教らと共同研究に取り組んだ。

 リュウクスによると、現状ではPKSの燃焼灰は、ほとんどが産業廃棄物として処理費を費やして処分されている。廃棄物を再利用することで、コスト面でも優位性を持つ。県内の混和材の潜在市場を年間約7万トンと見積もり、10%の獲得を目標とする。今後、鉄筋コンクリート造の建物の骨格(躯体)にも活用できるよう、JIS規格の認証を目指す。

 謝花代表は「環境にも良く、建物も長持ちする。沖縄発の技術として発信していきたい」と話した。