「予約全部キャンセル」 飲食店 時短にとまどい、不満


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営業時間短縮を告げる居酒屋の張り紙=1日、那覇市牧志

 入社式や入学式が行われるなど、新年度がスタートした1日。県内では新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、飲食店などへの営業時間短縮要請が始まった。要請対象外の飲食店でも「予約は全部キャンセルになった」などと影響は広がる。一方、新社会人はとまどいながらも「予防も万全にしたい」と新たな日常を受け入れていた。

 那覇市牧志の居酒屋こてつ桜坂店は時短要請に合わせて、開店時間を午後4時に前倒しした。店主の田中武見さん(56)は「歓迎会は全部キャンセルになった。開店を早めたが、早く来られる人は少ない。この間どうなるか分からない」と気をもんだ。南風原町の焼き鳥店「やきしん」を営む林格也さん(31)も「苦しいことには変わりない。協力金の対象外だと相当苦しいはずだ」と吐露した。

 時短要請対象外となった名護市。同市の「ぽんぽこ居酒屋ぽこぽん」は感染者の急増で歓送迎会などの予約は全てがキャンセルになった。経営する神谷康弘さん(48)は「少なくてもいいので、店の規模に応じて協力金を出してほしい」と願った。読谷村にある昼営業の飲食店オーナーの40代女性は、夜の営業時間短縮を対象にした協力金支給に疑問を示す。「店の規模を問わず、定休日も含めて一律4万円を支給するのは不公平だ。不要不急の外出自粛の呼び掛けで、昼営業も影響を受けている」と対策を求めた。

 新年度初日の街中にはスーツ姿の新社会人の姿も目立った。沖縄海邦銀行の入行式を迎えた新垣幸也さん(20)は、同僚や上司との飲み会を楽しみにしていたとし「社会人になると大人の付き合いが増えると期待していた。友人とも新たな環境に出て、話す機会が減るのは寂しい。飲食など4人以下の要請を守って、予防も万全にしたい」と話した。

 県庁では新たに感染症対策課が発足した。嘉数広樹課長は「県庁内では、基本的には歓送迎会は自粛している」と説明。県民に「感染が非常に拡大している状況なので、イベントをやりたい気持ちも分かるが、できるだけ控えていただきたい」と呼び掛けた。