全琉アマゴルフ3連覇の新城 「開き直った」王者の風格 強豪大進学へ弾み


社会
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18番 サードショットを放つ新城ディラン唯人=1日、恩納村のジ・アッタテラスGR(ジャン松元撮影)

 第59回全琉アマゴルフ選手権(主催・県ゴルフ協会、琉球新報社)最終日は1日、恩納村のジ・アッタテラスGR(パー72)で各部門の決勝があり、一般(6841ヤード)は通算5オーバーで首位とタイで出た新城ディラン唯人(ベルビーチ、宜野座高出)が通算7オーバーの223で制し、3連覇を成し遂げた。女子A(6177ヤード)は宮城柚(カヌチャ)が予選首位を保ち通算9オーバーの153で初優勝した。50歳以上が競うシニア(6841ヤード)は比嘉淳二(ジ・アッタテラス)が通算13オーバーで2連覇した。60歳以上で競うミッドシニア(6177ヤード)は玉元孝祐(美らオーチャード)が逆転勝ちで初制覇。女子B(5575ヤード)は新垣奏美(フリー)が予選首位トップのまま頂点に立った。

メンタル面成長、逃げ切る

 

 前半で三つスコアを落とし、崩れかけた新城ディラン唯人(ベルビーチ)が「開き直った」という後半をノーボギー1バーディーにまとめて逃げ切った。首位タイで決勝をスタート。予選の蓄えもあり前半を終えてトップを保ち、その後は安定したラウンドで大会を制した。

 「ミスしてもまたどこかでフォローできたらいい」。後半は飛距離が出せるドライバーも無理せず、セカンドショットで確実に寄せ、丁寧にコースを攻めた。気持ちの切り替えがプレーに現れたのはパー4の12番。「2パットでいい」と力を抜いたショットはピンまで約2メートルの好アプローチとなりバーディーパットを沈めた。

 昨年の2連覇をきっかけに勝ち気先行を見つめ直し、周りを気にせず「1日1日やるべきことをやり通せる」ことを心掛けるようになった。姉の莉李亜の影響も受け、コロナ禍の中でアプローチやパターの練習も重ね苦手意識を克服。この日もバンカーからのリカバリーを成功させた。

 全琉アマは宜野座高の3年間で優勝を続け、この春は東北福祉大に進学する。今大会は進学を前に試合感覚を取り戻す目的もあった。「(大学では)チャンスがあればどんどん試合に出ていろんな刺激を受けたい」。メンタル面の確かな成長を感じつつ、次のステージでの飛躍を誓った。
 (謝花史哲)

宮城柚、女子A初制覇

18番 優勝を決め、笑顔でホールアウトする宮城柚

 宮城柚(カヌチャ)が照れ笑いしながら女子A初優勝を喜んだ。まだまだあどけないカトリック中2年生。窮地の後もすぐに気持ちを切り替え、タフネスさを発揮した。

 前半、バーディー発進も2ホール目で大きくつまずいた。パー4の2番をOBに3パット、このホールだけで4オーバーの大たたき。その後も4連続ボギーで「グリーンが速くパットも入らない。乗らず入らずだった」と我慢が続いた。

 後半からパットの調子が上向きになると、11番からは4連続バーディーと波に乗った。予選でチップインバーディーを決めた12番のパー4はこの日も相性良く、2オンから2メートルの上りを沈めた。

 家族と共にゴルフと向き合ってきた。小学2年で父・隆二さんのスコアを上回った。「それ以来、父はプレーをしなくなり、付き添いやアドバイスに専念するようになった」と明かす。興南高3年で姉の杏(カヌチャ)の存在も成長の大きな糧となっている。杏は「実力も近く、長く一緒に練習し切磋琢磨(せっさたくま)している。スコアが悪くても全然引きずらない前向きタイプ」と評する。柚は「どんな大会でも楽しみながらプレーできるよう、いいスコアで回りたい」とさらなる成長を目指す。
 (大城三太)