きょう準決勝 沖尚×沖縄工、美里工×興南 見どころは


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 第68回県高校野球春季大会(主催・県高野連、共催・琉球新報社)は3日、北谷町のアグレスタジアム北谷で準決勝2試合を行う。新型コロナウイルス感染症予防策で、入場は保護者ら一部の関係者のみ。午前10時からの第1試合は第1シードの沖縄尚学とノーシードから勝ち抜いた沖縄工、午後0時30分からの第2試合は、小技が光る美里工と第4シードの興南がぶつかる。準決勝を前に、4校の戦力や見どころを探った。(上江洲真梨子、長嶺真輝)

 


沖尚、トップ誇る打率 沖縄工、最強の2枚左腕
 

○沖縄尚学

低めの制球力が安定している沖縄尚学の當山渚

攻撃

 シャープなスイングが徹底されており、打率は4チーム中トップ。特に1番、3番を打ってきた主将の仲宗根皐は打率が4割を超え、大会を通じて好調だ。4番知念大河も試合を重ねるごとに調子を上げ、打線を引っ張る。犠打の成功率も高い。一方で残塁が多く、好機で大量得点につなげ切れないのが課題。仲宗根は1球目のストライクから振る攻めの攻撃を掲げる。

守備

 守備陣は準々決勝までの3試合で失策1と安定している。投手陣は5人。コールド勝ちした3回戦で7回をゼロに抑えた左の當山渚は低めのコントロールが効いており、存在感が際立つ。右の後間翔瑚や豊田大航も力があり、より状態のいい選手を登板させながら継投できる層の厚さは大きな強み。それぞれの個性をいかに引き出すか、マスクをかぶる前盛魁来のリードにも注目したい。

 

○沖縄工業

打撃が好調な沖縄工の謝花幸樹

攻撃

 1試合平均の四死球での出塁率5・2は沖尚に続く。選手の調子を見て打順が変えられる中、2番・野原一輝は不動の一人。四死球での出塁が7と選球眼が光り盗塁、犠打と小技を絡め中軸につなげる。打率3割8分5厘の謝花幸樹や毎試合安打を放つ儀間朝尚らを筆頭に、どこからでも打ててしぶとくつなげる打線。4強中、三振の平均回数が多いため球の見極めが重要になりそうだ。

守備

 上原紳之祐と翁長大士の2枚の左腕エースの継投で勝ち上がってきた。パワーで押す上原に対し、丁寧にコースを突き、変化球で打者を惑わす翁長。両者とも制球力が良く、与四死球は1試合平均で1以内、防御率1未満はこれまで登板した4強の投手陣でも最強。投手陣を支える内野の守備も鉄壁。併殺7は他の3校を圧倒。中でも遊撃手の謝花幸樹の果敢な守備、フィールディングに注目だ。

 


美里工、強烈な積極走塁 興南、終盤に粘り強さ
 

○美里工業

切れのある直球とスライダーが武器の美里工の平良月

攻撃

 1試合平均で盗塁数4・2は4強中、断トツのトップ。特に1番松田大翔、2番島袋峻汰のコンビは出塁率が高く、チャンスメーカーとしての役割を果たす。8番金城凪希、9番神田健斗もこわい存在。2人とも大会を通してほぼ毎試合安打を放っており、下位からでも好機をつくれる気の抜けない打線。積極的な走塁はアウトになることも多いが、相手に与えるプレッシャーは強烈だ。

守備

 エース平良月のできが鍵を握る。闘志むき出しで投げるスタイルで、切れのある直球とスライダーで三振も奪える。全4試合とも登板し、直近の準々決勝は完投した。体力面をクリアできれば、相手にとって驚異になり続けることは間違いない。4強のうち、失策ゼロは唯一。内外野ともに常にコミュニケーションを取って連係を確認しており、守りでも声で相手打者にプレッシャーを与える。

 

○興南

急成長で進化を続ける興南の大山北斗

攻撃

 チーム打率は2割6分9厘。2、3回戦と1点差ゲームを制して勝ち上がっており、終盤での粘り強さが持ち味。毎試合安打を放つ打率5割の呉屋輝を始め、2回戦で5打数4安打3打点、長打3を記録した山形球道など上位打線は3割超えがひしめく。犠打飛の1試合平均3・6は沖尚と並んでトップ。下位打線には勝負強い選手が控え、確実な出塁で上位につなぎ得点を重ねたい。

守備

 投手陣は、昨秋ベンチ外だった右腕・大山北斗が急成長。初先発の準々決勝は13奪三振、完封と絶好調。いまだ登板のないエース左腕・山城京平や、防御率1・17の生盛亜勇太、上地杜和も控え、選手層の厚さがうかがえる。準決勝以降は、山城、大山を軸にした継投策が予想される。守備では1試合平均失策0・6。各校とも堅守が光るだけに、落ち着いたプレーで投手陣を盛り立てたい。