「活気取り戻したい」イベントで久々のにぎわい 糸満「ひめゆりの塔」周辺飲食店


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「ひめゆり観光センター でいご」の駐車場で初開催された「でいごわくわく市」。地域住民らが集まり、キッチンカーの料理やフラダンスなどのショーを見て盛り上がった=糸満市米須

 【糸満】糸満市米須の「ひめゆりの塔」周辺の飲食店が、経営存続の危機に直面している。修学旅行生らの昼食などを対象に経営されてきたため、元々閉店時間が午後5時ごろと早く、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための時短営業協力金の対象にならないなど十分な支援が受けられずに赤字経営が続いている状況だ。

 3月27、28の両日、「ひめゆり観光センター でいご」(山城朝美代表取締役)の駐車場で「でいごわくわく市」が初開催された。コロナ禍で閑散としている「ひめゆりの塔」周辺に活気を取り戻そうと、飲食店同士が協力し合い、キッチンカーや舞台ショーを披露することで地元住民らを呼び込んだ。徹底した感染防止対策を取りながら、集まった親子や地元住民らで両日とも盛況だった。

 「久しぶりにたくさんの人の笑顔でにぎわった。青空にも恵まれて、多くの人が気分転換できただろう」。ほっとした様子で話したのは「でいご」支配人の山田裕司さん(77)。「観光だけでなく『ひめゆりの塔』を訪れる人たちにとってもここは必要な場所だろう。なんとか活気を取り戻したい」

 コロナの影響で「ひめゆり資料館」の来館者は激減した。山田さんの資料によると、2019年度の来館者は49万1345人だったが、感染拡大後の20年度は1月時点で6万2207人(速報値)にとどまっている。「でいご」では雇用調整助成金の活用で従業員の雇用は守れているものの、レストランは昨年4月からほぼ休業状態。施設の維持費に頭を抱えている。

 山田さんは「この状況がいつまで続くか分からないが、悩んでいても仕方ない。地域と協力して、暗い雰囲気を払拭(ふっしょく)していくしかない」と話した。